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サワギキョウ
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俺の一族は誰にも言えない秘密を抱えている。
少しでもこの秘密が外に漏れてしまうと一族が滅びるぐらい大きな秘密だ。
昔はこの秘密を抱える人は沢山いたらしいが世の中は善い人達だけじゃない。
元々俺の一族はお人好しばかりで利用され、死に、人数を減らしていった。
だから一族を守る為にもこの秘密は死ぬまで誰にも話していけなかったのだ。
「...も......やめ............」
例え俺が信頼してずっと一緒に居たいと思っていても。
俺の一族は涙を流すと、涙が感情に応じた宝石にかわるという性質がある。
最も出やすいのは悲しいという感情の宝石で、最も出にくいのは嬉しいという感情の宝石。
でも世の中の悪人は宝石であれば関係ないのか、昔は捕まると拷問されていたらしい。
人数が減った理由はそれだけじゃない。
涙を宝石にかえる性質はプラスだけじゃなく、マイナスの面もあるのだ。
涙を宝石にかえる度に命が削られていく。
世の中良い事ばかりじゃないのは当たり前の事だ。
そのことを俺はすっかり忘れていた。
俺の好きな人は大学の先輩で凄く優しい人だ。
僕をいつも気遣ってくれてエスコートしてくれる頼りになる恋人。
幸せすぎて浮かれていた。
信頼しているあの人に隠し事をしているのが心苦しくて話してしまった。
俺は涙が宝石になるって。
そしたらあの人は急変した。
ニヤリと笑ったかと思ったら思い切り殴られ気を失ってしまった。
目が覚めると牢屋のようなところに繋がれていた。
丁度金に困ってた、俺の為だと思って泣いてくれ。
そう言われたかと思うと殴られ、蹴られ、首を締められた。
俺の一族は昔から痛みに慣れるよう教育され、感情をコントロールできるよう躾られている。
だからこの時に悟った。
俺が衰弱して死ぬまでこの苦しみは続くのだと。
そこから色々聞かれた。
お前の親もそうなのかとか、今までどんな宝石を落としたのかとか、どの感情がどの宝石になるのかとか。
答えても答えなくてもこの状況から逃れられる訳じゃないから答えることはしなかった。
その日の拷問は特に酷いものだった。
強力な媚薬を打たれ犯される。
でもあの人は知らない。
快楽で流す涙は唯一宝石に変わらない。
ただ炭素を多く含む石に変わるだけ。
だから快楽で流す涙に余計な感情を混ぜないように、ただ与えられる快感だけに集中した。
どれほど月日が経ったのか中々涙を流さない俺に痺れを切らしたあの人がナイフやハンマーなどを持ってきた。
殺す気なのだろうか。
どこか他人事のように考えたことはあながち間違いではなかったようだ。
あの人はハンマーとナイフを持ち俺に近づいてくると足の指を1本ずつ切り落としていった。
日々の拷問に晒された身体は新たな痛みに耐えきれなかったのか、左足の指が全て落とされると気を失ってしまった。
目が覚めるといつも見る牢屋のような天井ではなかった。
「ーーーーーーー」
知らない人に抱えられ何かを話しかけられていたが俺には理解できなかった。
状況を確認しようと目だけをキョロキョロと動かし辺りを見回して見ると、あいつが警察に連れていかれる様子が見えた。
俺はあいつから解放されたようだ。
でも分かっていた。
俺の身体はもう限界で、そろそろ死ぬのだろうと。
「あいつにこれをとどけてください。いっしょにいられてうれしかった。」
あんな事されたけどどうしても嫌いになれなかった。
あの人が自分の意思でやっていたと思えなかったから。
俺もまさかこんな希少な石ができるとは思わなかったけどこれさえあればあの人はもうあんな思いをすることはないだろう。
生きたかったなぁ...
サワギキョウ
高貴
悪意
特異な才能
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