アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
コンプレックス2
-
あの話を聞いたあと、ライはお父さんの所に戻って挨拶回りに行く、と言って行ってしまった。
とりあえず聞いた話の整理をしようとバルコニーに出て夜風に当たっていた。
「…闇市か。」
嫌な名前だな…
奴隷なんか飼って何がしたいんだよ。鬱憤を晴らしたいだけ?獣人だって生きてるのに、身分がないからっておかしい話だろ
どうにかしてそれを無くす方法って…
「あら?先客がいるみたいね」
「ハルディア。ここで何をしているんだ」
「あ…アンジェさん、エル兄様…ご、ごめんなさい、すぐ戻ります」
「エル、別に私は大丈夫よ?ハルディア様も義弟になるんですもの。私もたくさんお話したいわ」
この人は兄様の婚約者リアンジェさん。
アンジェさんもアルファで、兄様とは政略結婚らしい。
1か月後に挙式を挙げるそうだ。
「す、すみません…風に当たりすぎたのでフロアに戻ります」
「あら…気にしないでいいのに…」
「ハルディアのことはアンが気にする必要ない。放っておけ」
「エル…実の弟なのにどうしてそんな言い方…」
「あいつは王家の恥だ。談笑でもして一緒に思われたらどうする。全く、父さんも何故このパーティーに参加させたんだか…」
二人の会話を聞きたくないため、早足でフロアに戻った。
なんだか出入口付近の一角が騒がしい。
何かあったのだろうか?
「おい」
「!あ、…リド、どうかしたの?」
弟のリドアが後ろから声をかけてきた。
こういう場は嫌がるのにまだいるだなんて…珍しい
「エル兄さんは?」
「アンジェさんと外で話してるけど…」
「あの女狐か」
「リド、エル兄様の婚約者なんだからそんな言い方…!」
「るっせぇよ、婚約者だろうがなんだろうが嘘は言ってねぇだろ。どうせエル兄さんに嫁ぐこと決めたのも王妃の座が欲しいだけだろ」
リドアはアンジェさんを毛嫌いしている。
どうやら馬が合わないらしい。アンジェさんは頑張って仲良くしようとしてるみたいだけど
「オレもう部屋戻るから、エル兄さんと父様に言っといて」
「あ、うん…」
そう言うとさっさと会場を出ていった。
リドアと話しているあいだにさっきの人集りがいなくなっていた。
誰か来たのか?何があったんだろう…
「おーい!ハル〜!」
「あ、ジノ…!」
僕に声をかけてくれたのはジノ・キーファ。
エル兄様と同い年で、小さい時に実の弟みたいに俺を可愛がってくれていた。今もだけど。
ジノは隣国の第1王子で、アルファの獣人(ヘビ)だ。
当然俺がオメガだということは彼も知らない。
「大きくなったなぁ…今いくつになったんだっけ?」
「22歳だよ。ジノは全く変わってないね」
「22か!早いなぁ…俺の知ってるハルはもう少し小さかったんだけど…」
「それ会う度に言ってない?」
僕たちは談笑しながらジノがいなかった時のことや仕事の話などをした。
話をしている中で1番驚いたのが…
「ボク、しばらくここに泊まるからね」
「え!?」
ジノはエル兄様との仕事が増えるため、連絡を取り合うより直接話をした方が早い、とのことらしい。
別に僕は構わないけど、ジノのご両親が悲しみそうだな…あそこの両親ジノ大好きだから…
「エルにはもう言ってあるから、この後使える部屋に案内してくれる?あ、ハルの部屋に泊めてくれてもいいんだよ?」
「客間が空いてるだろうから、そこに案内するよ」
「躱し方が上手くなったな〜…分かったよ、ありがとう」
「まだ挨拶回り済んでないでしょ?俺はここにいるから、行っておいでよ」
「ううん、さっき出入口で人の波に揉まれて来たからもうほとんど済んだし大丈夫。今はハルの傍にいたいんだ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 20