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ただひたすらに。
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歓迎会は遅くまで及んだ。
いっぱい話して遊んで笑って。
大切な主人のためにと行われているイベントのはずなのに、結局は皆楽しめていたと思う。
「・・・ふぅ。」
夜風にあたりながら、熱く火照った体を冷ます。
興奮していた脳内も少しずつ落ち着きを取り戻してきていた。
少し外の空気を吸ってくると言って部屋を出てしばらくたつ。
たまに、誰かが様子を見に来てくれたけど、大丈夫だって追い返した。
「・・・だって、俺が居たら話せないじゃん。」
せめて、さ。
無理やり俺なんかに仕えさせられてる皆が愚痴を言える場所を設けなきゃ、さ。
「・・・知ってるよ。」
皆快くなんて思ってないの。
生まれだって貧乏くさい一般人。
なんにもわからない俺に一から教えていくのは大変だし。
それに、覚えが悪いから。
「・・・知ってる。」
十二白虎って言ってた皆からはまだ聞いてないけど。
他の従者家の人とかと、初日と二日目と顔合わせした時。
緊張して席をたった俺が、壁一枚越しに聞いた俺への批評。
顔合わせしてた時はニコニコ笑ってたけど、所詮は機嫌取り。
壁一枚で人はこうも変わる。
下卑た哂い声が、俺の脳ミソを埋めつくすのは容易いことだった。
きっとさ。
皆もそう思ってんだよ。
十二白虎って言うのは、特に忠義に厚い人が名乗れる称号なんだって弥生さんから聞いた。
その時の弥生さんの表情は心なしか誇らしげで。
その笑顔を見たときは錯覚しかけてしまったけど。
違うよな。
・・・違うんだよな。
「あー、何時戻ろう。」
とうに30分が過ぎていることを示す腕時計をチラリと見ながら、俺は憂鬱に溜息をついた。
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