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信頼しているのは。
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「失礼します!」
「あ、はーい・・・!」
玄関から呼ぶ声がして俺は小走りで玄関に向かった。
廊下小走りヤベェww
つかここ玄関から結構離れてんのに聞こえるとか、どんだけ叫んでんだ。
「はーい!お待たせしました、すみません!」
「いえ、・・・ってもしかして貴方が涼様ですか?」
「え、あ、はい。涼です」
そこで俺は初めて来客の顔を見た。
「俺、伊吹っていいます!蓮さんに涼様の身辺のお世話を言付かりまして!!」
伊吹(いぶき)。
そう名乗ったその人は、クリーム色の髪の毛のイケメンだった。
<***>
クリーム色の髪は、左側は左目を隠すかの勢いで長く、そして反対にしっかりと上げられた、右側の髪のしたにある目は、澄んだ青色。
ガラス玉みたいな目はとても綺麗でキラキラしていた。
「えっと、蓮に言付かったっていうのは・・・」
「はい。俺、蓮さんの部下なんです!」
「そうなんですか・・・」
そういえばみんなもそれぞれの家のボス(或い⦅あるい⦆は次期ボス)なんだよな。
蓮の家は白恩寺家。
白恩寺の家からわざわざ来てくれたのか。
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
「それは俺のセリフですよ!!よろしくお願いします!!」
ぺこりと頭を下げる伊吹さん。
明るい性格なんだろう。
<***>
「俺てっきり、この家に来てくれている従者さんのことだと思ってたんですけど、蓮、わざわざ頼んだんですね」
「蓮さんはあんまりここの従者さんを信用してませんからねー。ここだけのハナシ」
伊吹さんは口のそばに手を持ってきて、ちょっと悪戯(いたずら)っぽく笑って言った。
「そうなんですか?」
「ええ。あの人は昔っから・・・」
「へぇ・・・ってそんなに古くからの付き合いなんですか?」
「・・・俺、蓮の友達なんです。昔っからの付き合いで」
ふっ・・・と寂しそうな、切なげな、どこかを想うような、そんな表情をして伊吹さんはちょっと俯いて続けた。
「でもアイツってばすぐ無茶するんですよ。それでほっとけなくて・・・。蓮ン家に頼み込んで・・・それで今も働かせてもらってるんです」
「そう、だったんですね」
「ええ。だから、今はもう『友達』じゃないけど・・・『部下』ってことで傍にいるんです。それだけで幸せで、安心できるから・・・」
「・・・すごいですね、なんか」
「いやあ、そんな大したもんじゃありませんよ!!」
にっ!!
と伊吹さんは笑って言った。
「すごいですよ、俺ならそんなこととても・・・」
俺ならそんなこととても、できない。
例えば隼人がそうなったとして。
俺は隼人のためにそこまでできるだろうか。
いや、何かをしようとはしただろう。
だけど。
友達っていう関係を、親友っていう関係を、捨てられただろうか。
「蓮はとても真面目な性格でしてね。なんでもかんでも背負い込んで苦しい顔一つせずにずっと笑ってるんです。でも、アイツがずっと笑ってるのは・・・」
そこまで言ってから伊吹さんは苦く笑って頭(かぶり)を振った。
「いえ、何でもありません。忘れて下さい」
「・・・そうですか」
気になったけれど、伊吹さんの表情は苦しそうで、それ以上聞くのはよくないと俺の中の俺が呟いたんだ。
「まっ!!とりあえず、お留守番してましょうかね!!」
「そうですね!!」
伊吹さんと俺は一緒になって笑いあった。
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