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違和感
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時計を見るとすでに10時半を過ぎていた。明日のことを考えるとそろそろお開きにした方がよさそうだ。
そこへ伊島が戻ってきて明日予定があることを告げ、グラスを空にして2人は店を後にした。
「すいません、僕から誘ったのに奢って貰ってしまって。ご馳走様でした。」
レジ前で後輩に出させる訳にはいかない拓也と、自分から誘ったからと割り勘を申し出た伊嶋の攻防に、自分の都合で1軒だけで帰宅してしまうからと拓也が押し通し、拓也が会計を全て支払った。
店でも申し訳なさそうに頭を下げていたが、店を出て再び伊嶋が礼を言ってきた。
「オレも先輩達にそうして貰ってきたから気にするな。それにオレの都合で1軒だけになっちゃった訳だし」
2人は金曜日の賑わう繁華街から離れ住宅街の中へ入っていく。
涼しい夜風が吹き、特有の暗さが広がる静かな住宅街の道を2人で歩いていく。
「明日の予定ってデートですか?」
特におちょくる感じでもなく、むしろ、拗ねているような声色で伊嶋が聞いてきて拓也は少しドキッとした。
「普通に男友達だよ。いま恋人いないの知ってるだろ。」
住宅街の薄暗さでは表情まではよく分からず、自分の気のせいと少しの違和感を拭い去り答える。
「でも、もしかしたらそういう人ととのデートっていう可能性もあるかと思って」
嘘をついた罪悪感と、それを知らず話す伊嶋の言葉に今度は別の意味でドキッとした。
しかし、さっきの拗ねたような不機嫌そうな雰囲気は消え、いつもの伊嶋だった。
やはりさっきのは自分の気のせいだったと違和感は何処かへ姿を消し、再び可愛い後輩との他愛のないやりとりを続ける。
しばらく住宅街を進み見知ったT路路に辿り着いて2人は足と共に会話も止めた。
「それじゃまたな。今度はゆっくり呑める日にオレが誘うよ」
「はい!いつでも誘ってください。何軒でも付き合います」
次の約束を交わし、伊嶋が今日はご馳走様でした。と別れ際丁寧に三度目のお礼を告げ別れた。
「おう。また今度ゆっくり飲みに行こう。」
2人はそこで別れてそれぞれ自宅へと歩き始めた。
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