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これから
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2年後ー
「りょー!もう、出るぞー」
玄関からリビングにいる恋人に呼びかける。ちょっと待って、と返事と共にドタバタと慌ただしい音が聞こえて来る。
オレが綾(りょう"伊嶋")に助けられたあの日。2人は、そのまま付き合い始めた。そして、2年経った今、ついに同棲を始めた。
ここまで来るのにも色々な事があった。でも、綾とだから乗り越えられたんだと思う。
昔、人生において恋愛は必要かと、だいぶ拗れた考えをしていた自分からすると、恋人と同棲しているなんて考えもしなかった。
でも、例えば、今、人生において恋愛は必要かと尋ねられたとしたら、その答えは、今もわからない。
だけど、ひとつ分かったことがある。
それは、恋愛は必要か不要かという話ではなく。
"一緒に生きていきたいかどうか"
ということなのかもしれない。
一緒にいたいから側にいる。愛だとかそういうことは、必然的についてくるものなのかもしれない。
綾と付き合うと決めたあの日。オレは側にいたいから、いて欲しいから、そう決断した。
そして、今も変わらず一緒にいる。
「拓也ごめん、お待たせ!スマホが中々みつからなくて。って、なにニヤニヤしてるの?」
「え?あー、ちょっと付き合った日のこと思い出してた。」
「ふーん、それで、いやらしいことでも考えてんだ。」
綾がニヤニヤしながら聞いてくる。付き合い始めて、もう一つ分かったのは綾が、意外とムッツリだったということ。
「ちがっ、お前はまたそう言う。それに、昨日だって結局…お陰で腰痛いんだからな。荷物、全部持てよ。」
「もちろん、持ちますよ。小郷さん。」
こういうくだらないやり取りで笑い合っている瞬間も、2年経った今でも、幸せを感じることができる。
ドアを開けると、秋晴れの気持ちがいい青空が広がり、ふたりは肩を並べて歩き出した。
Fin.
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