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「んふふ〜、パプとカイしゃんはおともだち」
自宅へつくと、スマホにメッセージ通知があった。
ひざの上に陸を乗せたまま確認してみれば、メッセージは桜田からだ。
「____え」
それを開いた瞬間、体が硬直する。
鳥肌が立ってスマホを投げそうになった。
『亮雅さんって、もしかして松本主任のことですか?』
な、なんで……亮雅さん?
頭が追いつかない。
メッセージを送信する相手、間違えてないのか。
そうでなきゃあり得ない。
ええ、これってなんの話なんだ……?
『なんの話?』
恐る恐る返してみれば、数分後に返信があった。
『歓迎会の日、先輩が聞いてきたんじゃないですか。亮雅さんどこ?って』
____
……
「は? っはぁ!?」
「!」
大声を出した拍子に陸がビクッと肩をふるわせ、泣き出してしまった。
「ああぁぁ、ごめん陸。驚かせたっ」
「うぅぅぁ……ゆしゃんおこったぁ」
「怒ってない。ほらほら、怒ってないよ〜。大丈夫だから」
焦りすぎだ、落ちつけ俺。
まずは深呼吸して状況を整理しよう……
頭をなでて意思表示をしたおかげで陸は泣き止み、怪獣のぬいぐるみを抱きしめた。
やばい、思い出せない。
いつだ? いつの話だ、というか……
俺は宴席でなにをしていたんだっけ。
「…………」
亮雅さんが言っていたことを思い出した。
俺は亮雅さんに「好きですか?」と聞いて、手をにぎって……
「優斗ー、俺の印鑑どこやった?」
「ッ!!!!」
「…………なに構えてんだよ。少林拳か?」
誰かいますぐ俺を消してください。
チリでもカスでもかまいません、どうか跡形もないほどグシャグシャにして。
「ん? どうした陸、優斗に怒られたのか」
「びくりした……おおごえ」
「ビックリ? ああ、そりゃあ怖かったなぁ。おいで」
俺の腕から陸がいなくなる。
陸には申し訳ないが、今まさに俺も泣きたい気分だった。
自分自身の過ちに気絶しそうだ。
「おい、死んでんのか?」
「……亮雅さん」
「なに?」
「遺書は……遺言だけで、いいですか」
「顔面蒼白になってるとこ悪いんだがな……まったく分からん。いきなり自殺予告かよ」
「もう俺は仕事に行けません」
「ちょっと待て、落ちつけよ。1から説明してくれ」
床に胡座をかき、陸を乗せた亮雅さんは父親もいいとこだ。
正座して謝るべきなのだろうか。
「す……すいません」
「言ってみ、聞くから」
「…………酔った勢いで俺、桜田に"亮雅さん"って言ってしまってたみたいで、桜田から……確認のメッセージが」
チラ、と亮雅さんの顔を盗み見た。
つもりが、目線が交わってドキッとする。
「ッ……いや、あの、えと……」
「ぷっ、ははは。なにをそんなに焦ってるんだよ」
「これは焦るだろっ__焦り、ますよ」
「お前、いま本性現したな?」
「ま、間違えました。すいません……」
もう俺はダメな気がする。
頭がおかしくなった。
「おーい陸、俺の服噛みすぎ」
「んんー」
こんなにも自分に鳥肌が立ったのは初めてだ。
なんて返信すればいいんだよ……
「んな顔しなくても、素直に彼氏ですっていえよ。婚約者でもいいぞ」
「! そんな、こと……」
「心配すんな。あいつはゲイが無理だとかいうタチじゃねえから」
「どうして分かるんですか」
「それは…………なんとなくだ」
曖昧すぎる。
だが、こうやって避け続けるのも亮雅さんや陸に失礼じゃないだろうか。
この2人は好いてくれているのに。
まるで俺は亮雅さんを否定しているような……
「いい、ます。付き合ってるって、正直に」
「ああ。仮にもしあいつが何かしてきたらすぐに言え、処刑すっから」
「…………はい」
手のふるえを抑えようと手首をつかむと、亮雅さんに頭をなでられた。
「っ」
「ありがとな」
「え……」
「まぁ正直、怖いなら無理して言わなくていい。つっても、あいつは言いふらすタイプでもないだろ。安心しな」
「そう、ですね」
男を好きでなにが悪い。
俺もそう言えるようになれたら。
意を決して亮雅さんとの関係について、正直な文を打った。
すると数分経って返信がくる。
『やっぱりそうなんですね』
……やっぱりって、なんでだよ。
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