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❖番外編❖嫉妬(克彦side)
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※番外編第2弾。
____
なんでもできると思っていた。
幼少期から俺は褒められ、天才と言われ続けてきた。
『克彦はまだ小学生なのにCADが解けちゃうの。凄くない!?』
『まぁっ、克彦くんは天才ね』
『将来有望だな。これは期待していいぞっ』
記号や暗号、図形を扱う問題は得意だった。
幼少期からパソコンや家電製品に興味があり、解体しては自分で直して構造を調べていた。
それが趣味なのか癖なのか、母は変わっていると言ってきたが成績がいいから貶してはこない。
小学生の頃は俺にとって自慢だった。
だが。
「克彦? このテストはなに? いつも100点だったのに」
俺は天才だ。
だから高校でも、勉強しなくても点数が取れると思っていたのに。
それは勘違いだった。
家庭学習をサボり遊び呆けた結果、歴史の点数は87点。
なかでも得意でない英語は60点。
地獄へと突き落とされる気分を味わった。
「あなたは学年1位で有名なのよ? どうしてこうなるの、褒められたからって弛んできてるんじゃないの」
「……チッ、知らねえよ」
「ちょっと克彦! 誰に向かってそんな口利いてるの! 謝りなさい!」
母の声は無視して部屋に戻る。
強引にドアを開けた衝撃で、勉強中だった優斗がビクッと肩を震わせた。
「……克彦、どうしたの」
「なんでもない」
腹立たしさを優斗に当てようとしたができなかった。
中学生の優斗は血縁の弟で、ダブルサイズベッドを俺と使っている。
2人でひとつの部屋を使うことに小学生の頃は抵抗があった。
今となればそれも過去のことで、イジメられたと泣きつく優斗をいつもベッドで抱きしめて寝る。
そうしているといつしか快感になり、高校3年にもなると理由なく優斗を抱いて寝ていた。
嫌だと言わないし、上京するからついてこいと試しに言ってみれば優斗はうなずく。
母や近所の人間に嫌みを言われても優斗だけは俺を悪く言わない。
それがとにかく嬉しかった。
そして春の半ば、俺は1人で神奈川の実家を出て東京のマンションを借り、優斗は卒業間近に俺の元へきた。
「すごい……実家の寝室より広い」
「……な、いいだろ?」
弟がゲイだと知ってからもう1年は過ぎている。
優斗を見るたびに俺の視線は舐めるように動き、ゾクッと下腹部がうずいた。
あり得ない感情だ。
弟なのに。
「エアコンあるの?」
「どうした」
「ちょっと、寒くて」
ついに頭がおかしくなってしまったのだろう。
俺は寒がる優斗を背後から抱きしめた。
「! そ、そういうのは……いいって」
「あったけえだろ、人肌の方が」
「っ……」
顔を赤くする優斗にまたゾクリとする。
可愛い。綺麗だ。守りたい。
支配したい。もっと触りたい。
心のなかが乱雑になる。
優斗はどうして弟なのだろう。
「んっ……、!?」
無意識だった。
優斗の唇を奪い、唖然とする顔に心臓がなる。
「なにして……は、んんっ」
一度重ねると制御がきかない。
優斗がもっとほしくなり、何度もキスをする。
舌まで絡めると気持ちよくて勃起した。
「ッ! 克彦、っ!」
「!」
胸を押し返して距離を置かれる。
愕然としている優斗を前に、俺はなぜか興奮していて。
「優斗……させろ」
「嫌、だよ……っおかしいって、兄弟でそんなこと」
泣きそうな顔で訴えてくるから、そうだなと言って諦めた。
それからは手を出さずに我慢していた。
優斗を襲いたい、でもそれをするとあいつは傷つく。
だから耐えていたというのに。
「なんなんだ、この下手くそなデータは!」
「……は」
「お前は確か新人だったな? 1からやり直せ、こんなゴミクズでは顧客どころか会議でも使えん。コンピュータの名称だけ覚えればいいってもんじゃないんだぞ」
「っ…………失礼、しました」
手が出そうになる。
ゴミクズだと?
俺の作ったものが悪いはずないだろ。
プログラマーとなるために1日も休まず勉強をしてきたんだ。
俺は天才だ。
だからもう一度、天才だと言われるために俺は毎日……
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