アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
❖
-
「あ、あのっ……まだ風呂入ってな……」
「優斗から加齢臭がしたらさすがに嫌だなー」
「ッ! 離してっ、1人で入りますから……っ」
強く押し返しても離してくれない亮雅さんは、嘘だよと笑いながら俺をからかってくる。
体格の差に負けて足掻くように抱きついてみるものの、心臓の音が伝わりそうで羞恥心が増していった。
「ふ……陸より暴れるじゃないか」
「こんなっ、ことするから……!」
「あーはいはい、早く入りたいよなぁ」
絶対バカにされてる……!!
浴室に入る亮雅さんを蹴ろうとしたとき、腕を引かれて転びそうになる。
「わっ」
「おっと。少し落ち着けよ、お前って結構子どもっぽいとこあるよな」
「……!」
「あんまりはしゃぎすぎると滑って転けるぞ」
「誰のせいだよっ! 変態!」
ムードもへったくれもない幼稚な言葉を吐いてシャワーを強引に捻る。
俺が恥ずかしげにしているほど楽しげな顔をするからムカつく。
たしかに、こんな俺は子どもみたいだけど……
「やっぱ陸がいねえときは素が出るな」
「……何度も言いますけど。いつだって素ですよ、俺は」
「言い方が悪かった。今の優斗は思春期の中学生と同じだ」
「ええ、そうですよ。俺はまだ中学生なんで」
「今日はやけに不機嫌だな?」
俺が睨みつけても亮雅さんには効きはしない。
優しく諭されるように見返されるだけで、頬が熱くなって目をそらした。
「あんたが……俺をバカにするから」
「バカにしてないだろ。俺は可愛いっていってるだけで、一度もバカにしてないぞ」
「……」
「そうか。やっぱオッサン相手にすんのは嫌だってか」
「え……いや」
「そういうことなら仕方ないな。俺はもう上がるよ、先に飯食って寝るからお前は好きなものを食ったらいい」
「は」
突然立ち上がり、風呂場を出ていこうとする亮雅さん。
自分から突き放しておいて頭の中がひどく混乱する。
俺、また怒らせた……?
いやでも、亮雅さんだって……
モヤモヤ考えていても亮雅さんは冗談だと引き返してこない。
なんだか泣きそうになり、慌てて立ち上がると「待ってください!」と手首を掴んだ。
「……なに」
「ご、ごめんなさい。俺……そういうつもりじゃ、なくて」
少しの沈黙が永遠と続いているように感じて心地が悪い。
だが、亮雅さんの「ぷふっ」と笑う声が聞こえた瞬間、全身の力が抜けていった。
「な……」
「そんな泣きそうな顔しなくてもいいじゃないか。悪かったよ、優斗が甘える顔が見たくてビビらせた」
「っ」
「つーか、んなしょうもない理由で怒るわけないだろ」
「ほんと最低です……」
「ふはは、悪かったって」
特に悪びれる様子もない堂々とした態度に文句の1つでも言えばよかったが、俺には亮雅さんに対する引け目のようなものがあって結局一歩下がっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
151 / 231