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亮雅さんの煽り耐性はついていたが、相変わらずなからかい上手に呆れてしまう。
そんな男に負けた俺も、少し悔しい。
「せっかくの2人休みだし、ちょっくら出かけるぞ。どこがいい」
「どこでもいい、ですけど……」
「俺とだったらどこでも行きたいってか。そうかそうか」
「……その自信はどこから出てくるんですか」
「さぁな。ああ、そうだ」
なにか思い出したように2階へ行ってしまった。
2人きりの休日。
陸がいるときとはまた違って、亮雅さんを変に意識する。
少女漫画のように毎晩襲ってくる活発なタイプではないが、2人になると途端に男の顔をしてくるから困惑するわけで。
「優斗、これ着てみろ」
「? なんでそんな高そうな……」
「予約してるレストラン、結構敷居が高いんだよ。それなりのマナーもあるしな」
高貴な場所に自分が釣り合うのかと考え始めれば日が暮れる。
少し心地悪さを覚えたが、素直に衣服へ手を伸ばした。
グレーのジャケットにストレッチパンツ。
いわゆるドレスコードと呼ばれる服装だ。
「どこで買ったんですか、これ」
「忘れた」
「は……」
「そんなん一々覚えてないって。この俺だぞ?」
「……そうですね、たしかに亮雅さんはラフなスウェットに短パンで幼稚園へ行くような人でした」
「いいじゃねえか、幼稚園くらい」
悪いとも思ってない。
でも、日頃服に対して無頓着なこの人がどうしてファッションセンスのいい服ばかり選んでくるのか不思議でたまらない。
やっぱり才能か……
ドレスコードに袖を通すと、一層恥ずかしくなってきた。
「うわ、なんか気持ち悪いです」
「なんでだよ。可愛いじゃん」
「可愛いって……それ眼科行った方がいいです」
「体型のせいなのか、優斗はフォーマルが似合うなぁ」
卑下する俺のセリフなど無視して褒めちぎってくる亮雅さん。
褒められて悪い気はしないものの、あまり褒められすぎると怖くなってしまう。
亮雅さんの場合、お世辞じゃないと分かるから尚更だ。
「なんつーか……エロいな」
「! やめてください。そういう目的の服じゃないですからっ」
「お前の場合、キッチリした服着てる方が色気が増して見えるんだよ。だからあんま会社でも1人にしたくねえんだけど」
「……そういう目で見てくる変態は亮雅さんくらいですよ」
「いい加減自覚しろ、今まで何回襲われてんだ」
「……」
否めない。
だが、亮雅さん以外の男と寝るなんて気持ちが悪くてごめんだ。
こうして安心していられるのも、亮雅さんの隣にいるからで。
「俺は柄ものが似合わねえからな。それはお前用だ」
「ありがとう、ございます……亮雅さんはなにを」
「俺のはネイビーっての? それにこいつだ」
ネイビージャケットにグレーのパンツ、そしてお馴染みの黒コート。
いかにも男らしさを象徴する服装だ。
それを着ている姿を想像して思わずドキッとしてしまい、何事もなかったように目線をそらす。
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