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衣更レイ
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「なあ、聞いとる?」
春、4月。
出会いの季節でもあり、別れの季節でもある4月。
中学の友達と泣きながらお別れして、はるばる大阪の進学校まで進んできたけれど、やっぱり方弁には慣れなくて...
初めこそは話しかけられたものの、各々にグループがあるみたいで、東京から大阪にきて学校が始まり、1ヶ月ほどが経ってから、やっと落ち着いたのがレイ1人だった。
俺は澤田つむぎ、高1。
東京から引っ越してきた俺は、良い意味でも悪い意味でも、初めはクラスで目立ってしまっていた...
容姿も普通だし.....東京ではまあまあな位置でまあまあな学校生活を過ごせてたはずなんだけどな...
しかし....さすが大阪。付き合いの軽さはずばぬけていいみたいで、カラカラと能天気に皆笑って話しかけてくれるから、人見知りなりにポツポツと返していたけど、やっぱり、去年からの付き合いがあるのかな、と、次第に俺に興味をなくしていくクラスメイトを見て思ってしまった。
例えるならマジックテープ...?
つかずはなれず、って言う感じ...かな...?
場には馴染めても、グループには馴染めなかった...
そうやってしょげていた俺に、これまた他の奴ら同様、気兼ねなく話しかけてくれたのがレイだった。
最初はすごく動揺した(まあそれには理由があるんだけども...)。そもそもレイは俺に興味が無いように思っていたし、また他のクラスメイトみたいに、ちょっと話すくらいかな、って思ってたけど、次の休み時間も、その次の休み時間も話しかけてきてくれて、次第に一緒に過ごすようになった。
...さっき、すごく動揺したのには理由がある、って言ったと思うけど......
レイはめちゃくちゃイケメン、とにかくイケメン。
クラスに1人は顔の整ったやつがいるだろうけれど、もはやそのレベルじゃなかった。
神様がうっかりおっことしていった、キラキラしている何かなのかと思うほどかっこいい....
なんというか、何者も寄せ付けないかっこよさがある。
クラスや学校の女子たちも、キャーキャー騒ぐというよりこっそり影から見つめている、というようなかたちだった...
恋に頑張ってる女の子たちをみて、少し微笑ましくなった。
おまけに頭も良いしスポーツ万能...
身長も高く、スタイルも良い...
部活は何もやってないらしいけど、よく誘われてるのをみてすごいなあ、と感心するのは少なくなかった。
それともうひとつ。
レイは、怖くなる時がある。
と言うのも、俺がまだクラスに、と言うか今のようにレイと行動を共にする前は、俺は一人でいることが多かったから、よくクラスメイトを観察することがあった...特にレイ...
これだけだと語弊があるかもだけど、単に東京のノリと大阪のノリの違いが気になった。
まあレイはかっこよかったから、それこそモテ男の仕草とか盗み見よっかなとか...
...目的変わっちゃってるけど....
怖い、って言うのはなんかこう、よくわかんないけど。レイが一人でいた時、レイの瞳がキラキラ、というよりギラギラと光っているように思えたのだ。
(蛇が獲物を睨んでるみたい)
背筋がゾクリ、と震えるような感覚に襲われたのを、今でも覚えている。
でもクラスメイトや友達と接する時はいつものようにヘラヘラ笑っている。
そして俺にも。
まだその時の1度しか見た事がないレイの表情を思い出して、またブルリ、としたあとため息をつく。
まあかっこいいのに変わりはないんだけど...
俺もレイみたいにかっこよかったらなあ...
「なあつむぎ、聞いとる?」
「はいはい、聞いてるよ」
相変わらずいい顔で覗き込んでくるレイを見て、俺は切実に思った...
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