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「はぁ、っ...ヤダ、ぁっ!」
ギシとベッドが軋む音と、結合部から聞こえる水音、自分の喘ぎ声と、弥生の荒い息。
広い部屋の中に、さまざまな音がやけに大きく響いて耳を塞ぎたくなる。
「はあ、春留、きもちいね」
「やだ、やだっ、ぁ、きもちよくない、も、いきたくないぃ!」
ぐち、と音を立てて弥生が奥まで入ってくる。
とてつもない快楽に背中がのけぞって、目の前が白く点滅する。
あれ、なんでだっけ。
ぼく、なんで弥生に抱かれてるんだ?
僕の両親は、僕がΩだとわかった瞬間に思い切り嫌な顔をした。
顔を歪めて大きな声を上げて泣きたいのはこっちだっていうのに。
初めは家を追い出されそうになった。Ωなんて要らない、汚らわしい、と。
1人でどこかで暮らそうかと思ったけど、お金もないし、Ωについてまだ何もわからないのに1人だなんて不安で、泣いて縋ったら渋々家で暮らすことを許してくれた。
けれど、一切干渉しない、という条件が付けられ、お金も自分で工面しろと言われ、挙句の果てには発情期抑制剤までも与えてもらえなかった。
もう高校生とはいえ、Ωだった僕はバイトで雇ってもらえるはずもない。お金を稼ぐ方法なんて、ひとつだけだった。
夜の街に出て、手当たり次第にすれ違う人々に声をかけた。
こんな汚くて醜い僕でも受け入れてくれる人はたくさんいて。
痛いことをする人もいたし、うなじを噛んでこようとする人もいた。
死ぬほど辛かったし、いっそ死んでしまいたいとも思った。
けれどある日、よく僕を買ってくれるおじさんといつものホテルに入ろうとしたときだった。
幼稚園の頃からずっと、高校も一緒の幼馴染みの弥生(やよい)に声を掛けられた。
生きることで必死だった僕は、知り合いに見られて初めて羞恥を感じた。
汚い僕が、高校も行かずに、生きるために死に物狂いで身体を売って、媚び諂って、金をもらって。
「春留、こんなところで何してるの」
いままで見たことない表情だった。
蔑むような、哀れむような目だった。
「春留くん?知り合い?今日は3人でするのかな?」
「え、あ、その、いや、」
「すみません、春留、連れて帰りますんで」
ぐい、と弥生に腕を引かれて、困った表情をしたおじさんの目があったけど、弥生の足は止まらなかった。
ホテル街を抜けて、歩いて、歩いて、家の近くまで連れて行かれた。
「このバカ!誰あのジジイ!まさか抱かれる気だったわけ!?」
弥生の家の前でガシリと肩を掴まれて、いきなり説教をくらう。
幼稚園の時から一緒だった弥生だけど、こんなに怒っているのは珍しくて、つい涙目になってしまった僕をみて今度は眉尻を下げる。
「っ、ごめんね、すこし大きな声出しすぎた」
「いや...それにしても何で弥生はあんなところに居たの?」
「それは...」
弥生はすこし口籠ってから、僕に向き直った。
「そんなことより寒いしさ、中入りなよ」
どうせ家に帰っても父も母も居ていないようなものだから、弥生の家にあげてもらうことにした。
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