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心酔 10
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『えー、どんな子なのぉ?』
「久しぶりに会ったらすごく可愛くなってた。だから、他の奴に取られる前に俺のにすんの」
それを聞いた女子たちは頬を赤らめ、存在しないなぎさの好きな女子を想像し、ため息をついた。男子ははやし立てるようにヤジを飛ばし、下手な口笛を吹き鳴らした。
「そんなことしなくてもお前以外なんて有り得ない」
堪え切れず口を挟むと、なぎさは驚いたように目をしばたいたが言葉の意味を理解するととても嬉しそうに笑った。
「名前、呼んでいいかな」
「いいんじゃないのか。そんなこと聞くもでもないだろ」
HR終了のチャイムが鳴った。
先生と室長の号令に従って椅子の音をさせて立ち上がった。
その中でなぎさは立ち上がりざまに俺の腕をつかんで引っ張った。ぐらりと傾いた体はいとも簡単になぎさの腕の中に納まってしまう。
「、、、竜海」
耳元に口を寄せたなぎさの少し震えた低い声が俺を呼ぶ。
「好きだよ、竜海」
今なぎさはどんな顔をしているのか。
気になって見上げると、頬をほんのりと赤くした不安そうな顔がそこにあった。
その顔があまりにもおかしくて、でもそんな顔が見たいわけじゃなくて。
クラスメイトが、先生が礼をして誰も見ていない隙に背伸びをしてなぎさの唇に自分の唇を重ねた。
「んな顔すんなよ、ばーか」
そんな顔しなくても、俺の心はもうとっくにお前で埋め尽くされているのだから。
(終)
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