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「ごめ、ごめんね…こんな腑甲斐無い男で……俺は何時も何時も……」
涕泣により萎えたブツを自身から引き抜いたモモはボソボソとうわ言の様に喋り続ける男を引き気味に眺めていた。
そのモモも内心穏やかでは無かった。
上手く感じる事が出来ず殴られた事は一度や二度では無い。
それがどうだ、この男口を開けば「ごめん」「自分が悪い」「ほんとごめん」
自身の境遇を哀れんでいたはずが男の事を心配し出す始末だ。
(…と言うかこれ、バレたら店追い出されるかな。もういっそその方が楽か…俺なんて路上で野垂れ死ぬのがお似合い……)
等と漠然とした未来予想を立てていた矢先、麻倉がうわ言を辞め真っ直ぐ話し掛けて来た。
「俺、さ。今まで彼女はいたんだよ。人並みに……だけど毎回本番になると駄目で…彼女を傷付けたらどうしようって、一回考えたら無駄に緊張して勃たなくなるし……。
それで、その、結構血迷ったとは思うんだけどここで、えっと…」
(…話が見えて来た)
密事に慣れようとこの店を訪れ、一番感じやすいを売りにしている俺を選んだ。
男であるのなら尚更、余計な事を考えずに済むだろうと。
だが蓋を開けてみればそんな男ですら満足させる事が出来なかった――これは俺のせいであるのだが。
これは、まあ心にクるものもあろう。
これがモモの麻倉に対する見解であったが、それは概ね当たっていた。
麻倉――この男。打たれ弱い。
そんな男を前にモモは自分を偽っているのが若干馬鹿らしくなって来ていた。
「……別に、いいんじゃね…それ、彼女を思っての事じゃん。寧ろ羨ましい位なんだけど……俺なんて、」
ぽつり、ぽつりと自身に起こったことを語り始める。
そんな事をしたのは勿論初めてで、自分自身に驚きつつも麻倉の不思議な人間性に絆され止まることは無かった。
父親が多額の借金を残して失踪した事。
その際に兄と生き別れになった事。
如何わしい店に連れて来られ12歳にして男に犯された事。
今まで受けた酷い仕打ちの事。
内容こそ悲劇そのもの。
これが演劇であれば役者は美しい涙を流しながら観客の情に訴えかけるのであろう。
だと言うのにモモはこれを客観的に、そして全てを諦め切った様に淡々と話した。
だがそれが麻倉の中の庇護欲を強く煽った。
「――――君、ここから出て自由にならない!?」
「…………は?」
モモの手を強く握り勢い良く麻倉は言い放った。
この様な事態を看過できない。
それがこの麻倉と言う男であった。
その優しさとも取れる弱点に付け込まれて女によく誑かされるのだ学習しなさい。
……だが、ここで一つ目の壁が立ちはだかる。
「…それって、俺を買うって事?それだったらあんたのモノになるけど」
「エッ……買うとかじゃなくて、もっとこう…無いの?」
「はぁ?俺達は商品だ。商品をケースから出すのに必要なのは金だろ」
さも当然と言わんばかりのモモの表情に麻倉の表情が固まった。
この世界で生きて来たのだ、自身への評価がそうなってしまうのも仕方の無い事。
更に現実を押し付ける様にモモは自身の額――残りの借金の返済額+αを麻倉へと示す。
一般人、もう少し位の高い人間であっても到底払う事の出来ない金額。
だが思い出して欲しい、この男。
「…………金なら、ある。めっちゃ不本意だけど」
「………………いや、馬鹿なの?」
社長の息子なのだ。
それも、世界でもそこそこ有名な方の会社である。
その為、金はあった。
本人的には金で買いたくは無かったが、それしか選択肢が無かった訳で。
そんなこんなで不思議な同居生活が始まる。
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