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猫に俺たち
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猫ばっかり構っている気が........
リビングの床で寝転がって猫とイチャイチャしている松永がいる。
「うーん。ラタンったらー♪」
クリスマスプレゼントに猫を買って来たのは俺だが.......なぁあああんで猫にはそんな様子なのに俺に対する時は
「なん(なに)?なんか用?」
ってソッ気ないんだお前ぁあああああ!!!!
猫はその内俺たちの夜の生活まで脅(おびや)かすようになった。
リビングの猫用のゲージで飼うつもりだったが寂しかったんだろう、ニャーニャー鳴くので
「可哀想だからここに連れて来よう」
と二人で思ったのが駄目だった。
今でも松永と寝るベッドに潜り込んで来ようとする。
松永もそれを止めないので俺と松永の間に奴がグデン、とその体を投げ出して爆睡している。
松永に手を出そうにも寝ている猫が邪魔過ぎる!!
俺と松永が仕事でいない時は家でゴロゴロ寝ている筈なんだが。こいつ寝てばかりだな。
まぁ、松永が家に帰るのが早いからそれからずっと松永に遊び相手をしてもらって遊び疲れもあるんだろうが。
俺になついていないわけじゃないが餌をくれる松永によりなついている。
そんな猫との三角関係のある日。
あいつまでやって来た。
「あーん!!もー、ラタンちゃんと一緒にじゃれ合う松永くーんも素敵よぉおおお!!ニャーンって言ってみて!!ニャーンって!!ゴロゴロゴローって!!」
モリクミが猫にではなく松永に言いながら喉を触ろうとしている。
「モリクミ先輩?猫こっちですよ?」
「てめぇ、モリクミ!!いきなり突撃して来て松永に当たり前に触ろうとしてやがんなよ!!」
「やーん!?猫ちゃんかと思ったー!!あ、長野くーんにも餌を持って来たのー。ほら、アサヒスーパードライよー!!」
「おぉおおお!!!」
ビールにつられる俺が悲しい。
一番好きなビールの銘柄をこいつはよく分かっていやがる。
松永が毎日ビールを飲むことに嫌な顔をしたり「そのビール高いね」とか言うから飲めないアサヒスーパードライ。愛してる、アサヒスーパードライ。
「おい、モリクミ。お前が来たってことはいつもお前の両隣にいる奴らも来るんじゃねーだろうな?」
「あーん?アラブの石油王のイケメンとか?」
「そんな奴今までいたことねぇだろうが!!お前の妄想の中ではいつも両隣にどんな奴がいるんだよ!!リアルは鎌やんと吉野、奴らだろうが」
「ああ、あいつら。呼んでないわー」
嫌そうに答えるモリクミはまた松永に向き直って「はぁあああ、猫ちゃんとじゃれてる松永君もイイ!!」とか言いながら猫にはササミを。松永にはハーゲンダッツという餌で釣っていた。
玄関のチャイムが鳴る。
「おい、あいつらじゃねーのか?」
「あーん?あたしが追い返す?」
「いやいやいやいや、お前も一緒に帰れよ!!」
休みの日にお前らは何故襲撃して来るのだ。
松永とエッチもイチャイチャも出来んじゃないか。
モリクミが当たり前のように玄関に向かいドアスコープから外を覗き見る。
「腐れが来た」
とモリクミはつぶやくといきなりガッ!!とドアを開ける。
ゴツッ、と音がしたからドアが外の吉野か鎌やんどちらかに直撃したんだろう。
「新聞なら間に合ってまーす!!」
と言ってモリクミは外にいる吉野をだろう、一発殴ってまた素早くドアを締めて鍵をかけた。
ドアの外で吉野の怒鳴り声が響いている。
「ちょ.....隣の人から苦情来るから家にあげて」
「やーん!!んもぉー、松永くーんが言うならしょうがないなー!!」
おい。ここは俺らの家で決定権はお前にはないんだが。
「てめぇええええ!!いきなり何しやがるっ!!」
「黙れぇえええええ!!ラタンちゃんと松永くーんが怖がるだろうがっ!!てめぇぶちのめされたくなかったらその端の方で正座でもしてろ!!」
いやいや。お前らいつものことで猫も慣れてしまって全く怖がってないしあくびしてるんだが。
松永に至っては目にも止めてない。猫ばっかり見てニコニコしている。
カオスだな.......
こいつらは仲良くなれんのか。もう何年位こんな理由のないいがみ合いを続けているだろうか。
「鎌やん、今日は休みなん?」
「うん、休みだから練習もないし遊びに来たー」
鎌やんは社会人になっても演劇集団に所属して劇は続けている。
こいつも不思議だ。
松永の話では鎌やんは彼女が出来たりしても1週間後には別れていたりするらしいが常人では付き合いきれないだろう。
鎌やんも自由過ぎるからなぁ。彼女が逃げ出すわな。
鎌やんの夜の公演とかには松永が単独で見に行ったりしているらしい。俺は仕事で行けなかったりするからあまり見たことがない。
女の客が相変わらず多いらしい。出待ちとかされているらしいからそれなりに演劇の世界では人気があるのかもしれない。俺にはよく分からん。
「吉野、お前珍しいな。最近遊び来んかったが」
「別れたから暇だ」
こいつ......家に遊びに来ない時は彼氏がいる時で、別れて独り身になるとまた家に襲撃して来るのが再開する。分かりやすい。
吉野は相変わらず二丁目に出てはいるが大学時代みたいに毎晩というわけではないようで落ち着いて来てはいるようだ。
テニスサークルで細見だった面影は全くなくなった。
なんだこのガチムチ。
短髪、髭、ガチムチ。ゲイゲイしい。
さらにビキニ履いて海とかで日焼けとかしているらしいが。
なんかこいつ......存在自体がエロを体現して出来ましたみたいな存在に育ったな。
オヤジのエロが壇密なら。
ゲイのエロは俺です、みたいな感じに成長したな。
俺には全く訴えて来ない外見だが(松永みたいなのがタイプなので)、ゲイにはそそられる外見ではあるようだ。
さらにスーツを来て二丁目で無言で酒を飲んでいたらよくお声がかかるらしい。
が、実際は。
「モリクミぃいいいい!!てめぇええええ!!」
とモリクミから肩にパンチを一発食らって吹っ飛んでいる。
か弱いガチムチなわけだ。
その体はただの肉襦袢なのか?
そのガチムチはモリクミの打撃の衝撃をやわらげる為だけにあるんじゃないだろう・・・・・。
「こぉんのミートボールみたいな体型しやがって!!」
「お前が言うな!!痛ぇえ.....ドラエモンみたいな体型して!!」
「お前もなっ!!ゴキブリ野郎!!」
「そろそろ落ち着いて・・・・モリクミ先輩も吉野君も」
まだこの肉弾戦は続くのか?
同じくミートボール、ドラエモンと言われる体型のモリクミに関しては相変わらずだ。
痩せれば綺麗だと思う。痩せられたらだ。
目はパッチリ綺麗な二重だし、色白で肌がぱっつんぱっつんのせいかもしれないが綺麗な肌をしている。愛きょうもある。お富さん情報だと外人とデブ専には「チョー受けている」らしいが。
この性格だしな。無理だろ。
ドMな男以外無理だろ。
パンチが重すぎる。打撃的にも性格的にも。
打撃系女子と俺は心の中で命名している。
相手の心にも体にも衝撃が走る女だからだ。
「やーん!!松永くーんが言うならーん!!」
「近い近い......」
「おい、モリクミ。どさくさにまぎれて松永に抱きつこうとするな」
リビングで寝っ転がっている松永と猫を抱き上げる。
「きぃいいやあああああ!!イイっ!!すごくイイっ!!やーん!!何この素敵な絵は!!きぃいいいやあああ!!」
もぉ.........うるせぇなあ。
抱き上げられた松永も猫も「はぁー」って顔をしているのは俺の気のせいではないはずだ。
こいつら相変わらずだな、と。
俺たちも猫も同じなのかもしれないが。
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