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鹿児島旅行その5
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奈々子が手ごろな溶岩を拾って来た。
「奈々子ちゃん、確か持って帰っちゃいけなかったと思う」
「そうなの?」
「うん、立て看板みたいなのあった」
「そうなんだー。軽いからお土産にと思ったんだけど」
奈々子が松永に言われてポイっと投げ捨てた。
桜島を車でぐるっと回る。
俺たちが行った時はちょうど火山活動も少し落ち着いた頃で制限区域も解除されつつある頃だったらしい。
それでも灰はすごかった。
モリクミは近所のおばちゃんヅラをカバンに入れてまたトイレで着がえていた。
「まだおばちゃんスタイルの方がいいよな」
「そうだね。なんですかその格好?」
「香港で買って来たのー!!あーん!?涼しげでしょー!!」
「そうなんですか。車から出ないようにしてください」
「あーん!?」
肩幅ドーンっ!!胸元開いた姿がとてもセクシー.....に見えないのがモリクミスタイル。
視界の嫌がらせにしか思えない。
ゲイである俺だけじゃなく
「うわ、それはどうなんだろう!?」
とノンケの戸田もそう思うほど露出度の高い黒いチャイナっぽい格好がイラッとさせる。
顔面に施したスーパーのおばはんメイク落とせよ。
なんで頬に皺書いたまんまなんだよ。
どこの女芸人だ。
胸の谷間が全然エロく感じさせない女も珍しい。
肩回りの筋肉がやべぇ。
こいつ贅肉だけかと思ったらガチムチ女子じゃねーか、プロレスラーか。
また船に乗って市内に戻る。
その時モリクミは車から出るのを「ダメです」と松永に諭(さと)されて松永と二人で車に残っていた。
船の甲板(かんばん)に出る。
潮風が気持ちよかった。
吉野は船内をぶらついている。
奈々子もそれについていっていた。
戸田と二人で甲板で話をする。
「松永君と長野結婚式したんだな」
「そうよ。俺ら行動力あるべ」
「そうだな。俺もそろそろ奈々子と結婚する」
「マジ!?」
「うん。奈々子の親とは公認の仲なんだ。互いの実家に泊まったこともあるけど今度プロポーズして正式に挨拶に行こうと思う」
「うぉおおおおおお!!!おめでと!!お前ら長かったな!!」
「あっという間で実感ねーよ。俺も奈々子もそんなに時間経ってたっけ?って思ってさ。でももう俺ら社会人になって何年か過ぎた。そろそろ子供が欲しくなった」
「子供かぁー。いいなぁ」
「俺と奈々子に子供産まれたらみんなで育てよーぜ」
「そうやなー。俺のことパパって呼ばせて松永をママって呼ばせようか」
「子供が混乱するってー。でも楽しそうだな」
戸田と二人でそんな話をした。
子供かぁ。
ほんの少しだけ二人が羨ましいと思った。
「まだ内緒な。奈々子にもこのこと言ってない。うまく行くように祈っててくれ」
「おぅ」
話をしてくれたのが嬉しかった。
ゲイとか関係なく戸田は親友として付き合い続けてくれた。
松永を手放した時には二人の夜には書かなかったが戸田に殴られた。
松永を傷つけて一人にした俺を殴りつけた時の戸田は本気で怒ってくれた。
戸田は文章にはそんなに出て来ないし影が薄い印象に読んでいる人には見えるかもしれない。
でもさ、大切な時に陰でこそっと支え続けて来てくれた。
俺と松永だって何度か別れの危機があった。
いつもイチャコラしてるわけじゃなくてその度に戸田や奈々子とかモリクミとか吉野とか鎌やんとかが出張(でば)って来て仲を取り持ってくれた。
奈々子や戸田にもそういうのがたくさんあった。
その度に松永や俺とかモリクミとか鎌やん、吉野が出張った。
全員に歴史があるな。
「結婚式すんの?」
「女の子はしたいもんだろう?するよ」
「そっか。じゃあ俺友人代表スピーチやな」
「酔っぱらって余計なことしゃべんなよ。松永君にお願いしてーなぁ。きっちりしてくれそうだし」
「松永ぁ?そら無理よ。松永恥ずかしがり屋けん視線集中したらアウアウ始まる」
「そうだったな。しょーがないなぁ。長野でいいや」
「なんだそれ。ひでぇ」
二人で車に戻る。
ゲイとかノンケとかさ。
いろいろ世間では言われるけどさ。
俺たちはそんなの考えることあんまりなかった、って。
俺たちリアルで生きていたから小説みたいにゲイだからノンケだからってそこまでの苦悩なかった。
ゲイでいるのが辛いとか。
ゲイだから生き辛いとかさ。
そんなのがネット上には溢れてる文章もあるよ?
でもさ俺そんなことなかったし幸せだったしこれからも幸せだよ。
いつも考え過ぎの松永は知らんけど。
車に戻るとモリクミと松永が爆笑していた。
「や.やだーん!!松永くーん!!マジ受けるんですけどー!!あーははははは!!」
「フ.フフフ。モリクミ先輩が、アハ、アハハ!!モリクミ先輩が!!あはははは!!」
「お前ら楽しそうやな......」
「なんだか楽しそうだね。つられ笑いしてしまうな」
松永もこんなに笑っているから間違ってない。
俺らの進んで来た道間違ってないよ。
船がまた新港に車と俺たちを運ぶ。
松永の先導で天文館に向かう。
「シロクマが鹿児島発祥で有名なお店あるから暑いし食べに行こう」
シロクマってかき氷に練乳かけてフルーツとか小豆とかたくさん乗ってるやつね。
「結構でかいな」
「種類も多いんやね」
全員でシロクマを食べる。
「そろそろ夜になるけどどうするん?」
「うーん?明日帰るからそれぞれで自由に過ごす?」
「僕は最後の夜だから遊び行って来るよ」
「こーのっ!!お前は男漁りかっ!!下品よぉおおおお!!」
「戸田と奈々子は何するん?」
「まだレンタカー借りられる時間余裕あるからドライブでもして来る。長野たちも行く?」
「いや、いいよ。俺たちは二人で過ごす」
「あーん!?あたしはー!?」
「モリクミさんも私たちと一緒に行こうー」
「やーん!?」
戸田と奈々子がモリクミを俺たちから引きはがしてくれた。
二人が俺たちを二人きりにしてくれたな。
俺たちはホテルに戻って松永が荷物の整理とかをする。
「まだ早いやろ。時間あるし明日やん」
「早めに片付けといた方が楽やろ」
背後から抱き締めてチュッチュする。
襲う時が背後からばかりだなぁとその時気付いた。
クルッと松永を回れ右させてまたガシッと抱く。
「長野ー......」
「なん?」
「そんなにしたいん?」
「したいよ」
一度「モリクミ」で抑えられた性欲がまたムクムクと。
松永の息子に押しつけてた。
細い腰だなぁ。俺と全然違う。
小さい体だなぁと思う。
ゲイってさ。
俺たちみたいなカップルは少ないと思う。
同じような外見で付き合うのがリアルでは多い。
松永みたいなカワカッコイイ細い感じと俺みたいに体鍛えてスポーツしてます!!なカップルはゲイの間ではあんまりいない。
でも抱き締めるとすっぽり俺の腕に松永が収まるんよね。
しっくりくる。
見上げるように見つめる松永の綺麗な目も好きだ。
白いスベスベの肌も好きで。
俺の手で鷲掴みにしてワシワシしているこのかわいいお尻も好きだ。
きゅっと小さいお尻が。
ウヘヘヘヘ.........
「長野顔がキモい」
「おぃいいいいい!?」
俺のニヤケ顔に松永が笑いながら言う。
「暑いから」
「こっちこっち」
ベッドに引っ張って服を脱がしにかかる。
「またか.......」
「いや?」
「いややないけど。長いんやもん」
「いいやん。まだ早い時間やし長くやっても」
「みんながホテル帰って来て部屋に来るかもしらんやん」
「いいやん」
キスして体を舐め合って、松永の中に押し入って。
休憩している時に松永が
「今度鹿児島舞台のこと書くんやけど」
「おぅ」
「イメージが出来た。今度は夢ある世界を書く」
「そっか」
「うん。エロ描写がねー難しい、恥ずかしいし書いてる最中に僕何してるんやろうと素になる」
「それを考えたらいかーん!!」
「なんだけどねー、素になるとダメだね。何してるんだろうってなる......もうBLじゃなくてただの小説に毎回なるのがちょっとどうなんだろう?」
「まぁいいんじゃね?」
「そうだね」
一番の読者がここにいる。
松永の文章を読むと頭の中でこんなこと考えてんのかとか気付けて嬉しいし。
松永はイメージして全部書いていると言うけど全部が松永の一部なんだと思う。
全部松永自身の性格を少しずつ分けてるんじゃないかなーとか思う。
ほんとは心の中ではそんな風に思ってるんやないん?とかたまに思う。
松永は自分を騙して周囲に合わせて生きて来たと思うんよね。
だから心の底を見せないって感じで鎌やんが松永のことを
「演技派の大役者」
と言うけどそうだなって思う。
彼氏でそばにいるから他の人に比べれば一番理解し合えてると思うんやけど。
小説読むと全部のキャラに松永が全部入ってるように思う。
これ全部松永だろうなーって。
よく俺自身でも分からんけど。
「また二回戦しよっか。もっとエロ描写書きやすくなるなる」
「しないよ」
「いーや。するよ」
胡坐をかいた俺の上に座らせて腰に腕回してキスして腰を動かすフリをする。
入れてなかったけどね。
松永が身をよじって逃げようとする。
「逃げれんって」
胡坐を解いて、足を松永の体に絡めてがっちり抱きつく。
「苦しい......」
両手と足でガッチリホールドされて抱き締められている松永が眉をひそめる。
そんな「イヤイヤ」ってかわいい顔するから余計にいじめたくなる。
その、イジメって悪い意味じゃなくてもっと困った顔見たくなるっていう。
松永の顔をじーっと見る。
松永から口にキスをして舌をからめてくる。
「こうしたら腕と足の力抜いてくれるから」
そうそう。それでいい。
少しずつ調教した成果が。
何年もかかったなあ。
松永からキスさせて舌をからめさせるのに。
きっとね。
ぶっちゃけると松永はゲイじゃなかったと思うんよね。
俺はゲイだった。
男が好きって俺が気付いたのが松永見てからやったけど松永は言わないけどそうじゃなかったんよね。
本当はノンケだったんだろう?
でも俺を求めてくれた。
「長野、2回目する?」
「したい」
「いいよ。気持ちいいもんね」
「気持ちいいだけなん?」
「それだけじゃないよ。長野が気持ちいいと僕も嬉しい」
愛してくれた。
俺を愛してくれたからゲイになってくれたんだと思う。
どう言えばいいか分からないけど俺の為に自分を曲げた?いや、この言葉も違うな。
ただ愛してくれたでいーや。
ノンケとかゲイとか関係ないところで松永が俺を求めてくれたんだろうけど出会ってなかったら松永は女と恋愛してたと思う。
初キス奪って初エッチ奪って、俺を愛してくれたのに裏切って。
また愛して。
俺身勝手な生き物だなぁと途中で気付いてた。
結婚式を上げた。
これでもう。
最期まで一緒。
松永が俺に全部捧げてくれたから今度は俺を全部上げよう。
そんな気持ち。
「長野?どうしたの?」
「いや、お前ほんとに優しいね」
「なんで泣くの?」
「嬉しいからだよ」
ごめんな。
全部くれた。
松永の全部をもらった。
この体なかったら一つになれるのに。
どんなに抱き締めても足りない。
「どうしたの?ねぇ長野?」
心配そうに俺をなだめて俺の背中に回した手が撫でる。
「エッチするぞー!!」
「ええー!?」
泣いたかと思えば「うぉおおお、好きだー!!」と叫んでエッチを始めた俺に松永は
「長野、だ.大丈夫?その、仕事忙しくておかしくなっちゃった?」
とびびっていた。
「違うぅううううう!!そうじゃねぇえええ!!うぉおおおお!!愛してるー!!」
「う.うん。ありがと」
松永がドンビキしていたがもうーその日はめちゃくちゃやらせてもらった。はい。
めちゃくちゃエッチしまくった。
二人で爆睡して次の日を迎えた。
今日二人の家に帰る。
二人の家。
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