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お盆
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松永と福岡にお盆で帰省した日。
松永の住む家も婆ちゃんの家もないので松永が一人ホテルに泊まると言い張っていたんやけど
「俺ん家に泊まればいいやん」
「!?」
松永はずっと拒否をしていたが姉貴にも話をして松永を説得してもらった。
姉貴は俺と松永の関係を知っている。
「気にせんでいいけん松永君ウチに泊まりに来んね!?」
「分かりました」
と松永がこの世の終わりという感じにげんなりした顔をしながら姉貴の説得電話に返事をしていた。
緊張するからだろう。
俺の両親と会うのを怖がっていたのかもしれん。
松永の婆ちゃんと母ちゃんを迎えにお墓に行く。
その場にいたのは俺と松永と手伝いのおばさん二人だった。
そのままその霊園の小さい会場で坊さんに婆ちゃんと母ちゃんとかの為の祭壇組まれたところでお経を唱えてもらう。
「今リビングに小さい仏壇あるんだ」
「そうね」
手伝いのおばさん二人と松永が話をしている。
坊さんは忙しいのか15分位でいなくなった。
盆で稼ぎ時なんやろう。この祭壇もすぐ次の人の為に組み直されるそうで俺たちは外に出て手伝いのおばさん二人と別れて俺の実家に松永を連れて行く。
手伝いのおばさんは「ウチに泊まらんね?」と松永を誘っていたが「俺ん家に泊まるんで」とその申し出を俺が断った。松永は返事出来ずにうつむき加減やったけどまだ俺の家に行くのを怖がっていたのかもしれん。
松永の住んでいたところからは少し距離がある。
松永のところに比べたら田舎だが松永を迎える為に父ちゃんも母ちゃんも姉貴もはりきって準備してるっぽいとは聞いとった。
松永の生い立ちとか姉貴経由で父ちゃんと母ちゃんの耳に入ってたんだろう。
姉貴には俺たちの関係がばれた時に全部しゃべった。
「よう帰ったねー。暑いやろう?上がらんね。きたない家やけど」
「すいませんお邪魔します」
母ちゃんの言葉に松永が緊張気味に震える声で返事をして俺の後に続く。
「気ぃ遣わんでよかけん好きに過ごしなさい」
「すいませんありがとうございます」
言葉の最初に「すいません」ばかり松永は言っていた。
きっと俺の家族に負い目があったんだろうと思う。
申し訳ないって気持ちが俺には伝わる。
俺と一緒に住んで生活して愛し合っていること。
それを俺の家族に申し訳なく感じているんやろう。
俺と付き合って一緒に住んでいることは父ちゃんも母ちゃんも知らない。
いつかは言わなきゃいけないと思ってるんやけど。
姉貴が俺を睨んで小突いた。
前姉貴がメールでした言葉が思い浮かぶ。
いつか ばれるんよ
「ちょ俺たち疲れとるけん部屋で少し休む」
リビングから俺と松永は離れて俺の高校時代まで過ごした部屋に入る。
荷物を置いて母親からもらったお茶を二人で飲んで一息つく。
「優しいお父さんとお母さんだね。お父さんに長野似てんだね」
「あーそう?よー言われる」
「うん似てる。お母さんも美人やね」
「むっちゃ気合い入れて化粧しとったな。松永来たけん気合い入れとるぞ」
母ちゃん姉貴から松永の情報入ってたんやろう。
イケメン好きやからなぁ
松永に一生懸命絡んで来ようとしよったな。
「長野はお盆中は同窓会とか部活の人たちと会うんやろ?」
お盆中は高校と中学のやつらと会って酒飲んだり部活の連中と会う感じやった。
「いいよ。僕一人で大丈夫。久しぶりに会うんやろう?行って来ぃーよ」
「松永も行かん?」
「違うクラスの僕がどうして行くの」
松永が笑う。
部屋の扉がノックされた。
姉貴だった。
「松永君、こん子(この子)同窓会とかでベロンベロンで朝帰りばかりやけんその間あたしたちと買い物とかしよこか」
「あたしたち?」
「お母さんとあたしの二人」
「はぁー?」
「なんね?文句あるんね?あんたの代わりに松永君と過ごす言うとるったい。どーせ今夜からもう飲み会とかあるんやろうもん」
「そうやけど」
母ちゃんが松永と一緒に遊びに行きたいと言うとるらしい。
母ちゃん........
松永は困惑していたがその申し出を受けた。
俺が飲み会とか断って松永と一緒にいようとするのを気遣ったんやろう。
「じゃあ松永行って来る」
「うん。楽しんで来ぃー」
松永を俺の家に置いて夕方家を出た。
男どもに会うのはまだいいんよ。
でも女どもに会うのがめんどい。
クラスの男どもとはさ普通に話も出来るしバカ騒ぎ出来るけどさー。
あるやん?
彼女いるのか?結婚しないの?って。
会社どこ?とか収入とか生活とか。
高校時代に話題にしないような話題も振られるようになるわけさ。
酒も入る。
酒が入ればみんなあけっぴろげに話する。
あん時誰それが好きだったとか。
それに俺のことを好きだと言うやつもいたりする。
今までクラスメイトで笑い合ったりからかったりしていただけの関係だったのが。
酒が入るとめんどくさいことになる。
自慢に聞こえてしまうやろうけど何回も女から告白もされたし知らん後輩たちからは盗み撮りされたり他校のからも告白を受けた。
高校時代はまだ可愛げ感じたけどさ。
大人になるとさ。露骨でめんどいよね。
わざともたれかかって来たりボディタッチして来たり胸押しつけて来たり。
俺ゲイやしそれに興味がないし松永が好きなんよとは言えんから気の無い振りしながら男の輪に逃げる。クラスの同窓会はめんどくせぇー。部活の方はまだマシやなぁ。男だらけやけんね。
「長野ー今もモテるなーいいなー。彼女作らんと?」
「あ?俺決まった女作らんけん」
「お前大人んなってゲスくなったな」
そう言っとけば遊び人で広まって本気でせまっては来んやろっていう予防線なんやけどね。
こういう嘘をつき続けるのも二人の生活を守る為やしこうやってたまに懐かしい顔に合う関係性を壊さない為に必要なんやろうけどなぁ。
大人になると好きなものを好きって言えんくなるんやね。
酒をしこたま飲まされる。
男どものやっかみもあったかもしれんし。
女の酔い潰してしまって.......っていうのもあったやろう。
被害妄想かもしれんけどそう感じてしまった。
もう酒で失敗しない。
一度酒に飲まれて松永を失う時間を過ごしたから俺はモリクミとか気が知れてるやつらの前以外では酔い潰れたりしなくなった。
「こういう酒飲みに来たんじゃねーわ。俺帰るわ」
「長野?」
「長野君?」
「あー悪ぃ。なんか冷めたわ」
高校ん時とは違う生き物にみんなが見えてしまった。
俺お前らの愚痴聞きに来たんじゃねー。
仕事が辛ぇーとか寝てないとか。
女のこととか。
彼女いるのか?今どんな仕事してるのかとか。
この後どうするの?とか。
こそっと連絡先の紙渡されたりとか。
太もも触られたりとか。
そーいうのうぜぇ。
来年からこの同窓会来ねぇーよ。
そう思ってしまった。
俺の偏見と勘違いだったらいいなと思ったけど強くそう感じてしまってダメだった。
電車に乗って帰る時に携帯に鬼のように電話やメールやラインが届く。
どうして帰った?とかばっかだ。
そんなまずい酒飲みたくねー。俺がまだガキなんやろうけどさー。
俺そんなの同窓会に求めてねーっての。
大学時代まではそんな飲み会じゃなかったのになー。
社会人になるとこうなんのかなー。
もちろん会社の飲み会とかだとそういうのたくさんあるよ?
でもさ高校ん時の飲み会はそうなって欲しくなかったっていう俺のワガママなんやろう。
家に帰り着くと松永と姉貴と母ちゃんが台所でフルーツを切ったりデザートを作っていた。
「なん?もう帰ったんね?」
「おぅ」
「長野早いねおかえり」
「ただいま」
「今スイカ切りようけん食べるね?」
「食べる」
父ちゃんがリビングのテーブルでニコニコしていた。
松永も俺の家族に慣れて来たのか普通に話を出来るようになっていた。
「お前家に帰っても居つかんで外にばっかりおるから珍しいな」
父ちゃんが俺に言う。
確かにそうやな。
松永の婆ちゃんが亡くなった時は松永のところにずっといたし帰っても飲み会で朝帰りして寝てまた夜出かけてで家族と過ごしてなかった。
家族団欒でスイカとデザート食って俺と松永は部屋に戻る。
松永用に使ってない部屋を母ちゃんが片付けてくれていたが
「いいよ。松永といろいろ話すこともあるけん。俺の部屋に松永の布団持って来るけん」
と松永と同じ部屋で眠るようにした。
姉貴がニヤニヤいやらしい顔を向けるのを睨む。
松永と部屋に戻ってすぐ松永が
「なんかあった?」
と聞いて来る。
「なんもないよ」
「そう」
いつもように深くは聞いて来ない。
なんかあったと分かっても俺がしゃべり出すまでは松永は無理やり聞いて来ようとはしない。
それが心地よかった。
「松永覚えとう?」
「なんを?」
「初めてエッチしたん時んこと」
「覚えとうよ。文章でも書いたやん」
「あん時さ始めるまで長かったな」
「そうやね」
文章にするとすぐしたみたいな誤解されるような書き方やったんやけど結構始めるまで時間かかったんよね。キスやベロチューはその頃まではよくしてたけどいざ!!ってなるとね。
俺が落ちて松永が俺慰める意味でも俺にお風呂入ろうっていうとこあったんやけど(読んでない人にはなんのことやらやね。気にせんで)あれもさ結構二人でウジウジしとったんよね。
二人で風呂入って上がった後もさすぐエッチにならんで裸で二人ベッドに並んで手つないでたりとかさ。お互い息子がオッキ!!してたんやけどさ心臓バクバクしてさー。風呂場でお互いの裸見てたんやけどねー。今から本格的にエッチするぞ!!ってなるとね。
「こうやって手つないで寝てたな」
二人並べた布団に寝っ転がって手をつなぐ。
「そうやね。僕あん時これからどうなるんかとめまいしてた」
「緊張しとった?」
「緊張してた」
「始まるまで長かったよなー」
「始まるまでも長かったけど終わるまでも長かったよ。長野あん時からエッチ長いんやもん」
「いやー。なんかさ、もう出来んかもしらん!!とか思ってさ」
「どうして?」
「分からん。なんかもったいないけん長くやらなと思った」
ずーっと高校ん時のたまってたもんを松永にぶつけまくりだった。
好きでしょーがない気持ちでやっとそこまでこぎつけたのもあったけんね。
気持ち悪いかもしらんけど松永の体のあらゆるところ舐めた。
味わいたくて舌伸ばして隅々まで舐めてそのたびに松永がビクッてするのに感動した。
俺の体で松永の体を押しつぶして胸の中で苦しそうにする松永を見てムラムラして愛おしくなって。
「長野?」
松永の体を引き寄せて抱き締めた。
松永が俺の背中に腕を回して優しく撫でる。
「俺たちの関係みんなに言っちゃおうか」
「だめだよ。それはだめ」
松永が優しく言う。
「だめか」
「うん。だめ」
「どうして?」
「僕も分からない」
俺も松永も迷いがある。
この生活を壊したくないのと社会との折り合いを模索し始めてる。
家族のこととか。会社のこととか。周囲のこととか。
辛いとか苦しいってわけじゃないんやけど。
やり辛いっちゃやり辛い。
「この今の二人のことも文章にするの?」
松永が笑いながら言う。
「おぅ!!」
「エッチせんけんね」
「!?」
「当たり前やろ。実家でエッチとかするわけないやん」
「しょーがねーなー。明日ラブホ行かん?」
「はぁー。もーなんでそういうとこ知ってるん?」
ネットで調べてるからだよぉおおおおおおおお!!
「松永はお盆中は更新するん?」
「ううん休む。うーん.........今回ファンタジー要素含んだ内容をと思ってたけど向いてないのに気付いた」
松永が笑う。
どうやら今回の話に全く感情移入が出来ないらしい。
俺は全部のキャラに松永の人格を感じたんやけどね。
本人はどうやらそれに気付いていないらしい。
登場人物を俺とか自分の言葉遣いではないようにした結果。
登場人物の行動や会話に全く感情移入出来なくて会話に行き詰っていたらしい。
松永とは全く違う生き物、ちゃんとした別人格を形成しようとした結果。
どんな会話をすればいいのか分からなくなりつつあるらしい。
松永は書く時にはその場面を映像で想像しながら書くらしいんやけどどんな会話をするのか想像出来なくなったんやと。僕言葉の大人しいキャラなら想像出来るけどそれ以外がどんな言葉遣いなのか悩むらしい。
真面目な松永らしいっちゃらしい。
これ内緒な(ってばらしちゃるけど)。
「なん?話に行き詰ったん?」
「ううん話はもう書き上げてるし結末はもう出来てるんだ。でもね内容がどんどん悲惨で悲しい話になっていくっていう。明るいのからどんどんドス黒くなっていって僕明るいのダメみたい。僕ファンタジーに向いてない」
松永の言葉に俺が笑う。
なんで書こうと思った。
「今はもう他の書いてるんだけどそっちの方がまだ感情移入出来る」
「うぉ!?もう次の書いてるん!?」
「うん。なんとなくほんわかした感じののんびりしたやつ」
「ほほー」
まぁそっちは少し読んだけど女の子好きそうじゃないかね?
過剰なエッチはやっぱ無理らしくのほほんとした感じだったよ。
「俺の母ちゃんむっちゃ松永にベタベタしとったな」
「そう?すごく気遣ってくれて優しい。長野のお父さんも優しい」
二人共松永を気に入ったんだろう。
高校ん頃俺が同じサッカーの連中連れて来ても嫌そうな顔してた母親がニッコニコしてた。
ジャガイモみたいな外見で礼儀知らずでガハハハハと笑う男くさい連中じゃなくて色白の美少年みたいな松永にハートガッチリキャッチされよったな。
そういうのが母ちゃんは好きなんだろう。
なんで父ちゃんと結婚した?
体育会系の男じゃないか、って俺もか。
「明日お母さんたちとデパート行く約束してるからラブホ行かないよ」
「ぬぁああああにぃいいいい!?」
「長野も一緒行こ」
まぁたまにはいいか。家族なんやし。
実家にいる間はエッチお預けになるなぁ。
明日は高校ん時の同窓会か。
バックレて松永とラブホでも行こうかな。
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