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パッパラパー
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「ラタン」
松永が家に戻ってからモリクミが預かってたラタンが松永の声聞いて駆け寄って来る。
松永がかがんでラタン抱きしめるとラタンがペロペロ松永の顔なめよった。
犬みたいやなって思った。
「あーん松永くーん。お帰りー」
「お前家の鍵渡しとったけど変なことしてないやろーな」
「してませんっー!!」
モリクミに鍵預けとったままやったけん家に先に入ってもらってたけどこいつなら誰もいないのをいいことに何かしてんじゃねーかと思った。
「ほんとかいな」
「ほら玄関の荷物鎌田持って来て」
俺たちに続いてお富さんと鎌やんが部屋に入って来る。
お富さんは実家が引っ越ししたそうで東京おる間はモリクミの家に泊まるらしい。
松永が退院するのが週末やったけんみんな集まって一緒に家に来た。
吉野と奥田も後で来るらしい。
「台所勝手に使わせてもらいましたーん。鍋ですーっ!!」
「鍋かよ......」
「園芸部が集まれば鍋になるよね」
お富さんが笑う。
「園芸部って言っても松永君とモリクミしかいないじゃないかー」
「あ?あたしと松永くーんのラブラブコンビしか部員いなかっただろうが!!」
モリクミが鎌やんの言葉に噛みつく。
「モリクミー。もう一人いたってー。部長部長ー」
「あ?名前すら忘れたわ。なんだったっけ?」
園芸部の部長の存在を忘れ去るか。
影薄いからしゃーねーがお前らが忘れるなよ.......
「児玉先輩ですよ」
「やーん!!松永くーん!記憶力いいーっ!!」
「一緒に活動してたじゃないですか。普通忘れないと思いますが.......」
「あーん!!人生で無駄なことは覚えない主義なんですーっ!!」
児玉の存在は無駄なのか。
ここまで言われてると可哀想に思えてくるわな。
退院する頃モリクミと鎌やんもなんか吹っ切れた?そんな感じだった。
前みたいになったっていうか。お富さんがなんかしたんやろーね。
俺たちがジュース買って病室戻った後
「長野君と松永君二人にしてあげましょ♪」
ってお富さんが言った後
「あんたらちょっと来なさい」
って松永に見えんように俺らの後ろに座ってたモリクミと鎌やん振り返ってすんげー目で言いよったけんなぁ。
外でなんか言われたんやろう。
戻って来てから以前のようにはっちゃけた二人に戻ってた。
何したんやろ。
「お富さん二人になんか言ったん?」
「少しね」
「なんを?」
「私が海外行くって時に二人には言ってたの。あんた達長野君と松永君よろしく頼むから、って」
「そうなんか」
「そう。たまに危なっかしいから。松永君はあんな感じで心の内さらけ出さないでどんどん内へ内へ急降下するし長野君はパッパラパーだし」
「おぃwwwww」
「だからモリクミと鎌田に言ってたのに」
「そっかーとりあえずあんがと」
「どういたしまして。ほんと今回モリクミも鎌田もどーしてこーなったかな」
「あれやないん?お富さんとモリクミと鎌やん三人セットなイメージあるけんさ。あいつらもお富さんいなくなって調子狂ったんやないん?」
「はっ!!(鼻で笑いよった)モリクミも鎌田もそんなタマじゃないし。私がいなくなった位でそんなカワイイ感情持つ生き物じゃないからーwwwww」
「まだ俺分かってないん?」
「分かってないね。モリクミーっ!!」
お富さんがモリクミ呼ぶ。
「モリクミあんた彼氏出来た?」
「出来ましたーっ!!」
「マジで!?」
この生き物にも欲情する生き物おるんかっ!?
「はいーっ!!ここにっ!!」
モリクミが俺の腕と松永の腕取って満面の笑み出してやがる......
脳内妄想も大概にしろよてめぇー
「てんめー、っざけんなよ」
「ほら。モリクミおかしいでしょ。鎌田ー」
「何ー?」
「松永君とキスしてみたいとか思ったりする?」
「いつも思うよー」
「おぅぃいいいいい!?」
「ほら鎌田もおかしい。モリクミも鎌田も好きだから見逃さないと思ったけど松永君のことスルーするとか。あんた達の目は節穴か」
モリクミは腐ってるけん松永と俺のこと好きになるのはいいとして、いやよくないんだが....鎌やんノンケやろ!?
「鎌やんノンケやろ!?たまに俺らに変なこと言うけどさっ!!」
「ノンケだけど二人にはキスしたくなる瞬間あるんだなー」
「おぃ」
「松永君がかわいいとかさー長野君がイケメンだなーって思う瞬間あるんだーキスしたくなるなー。僕変かなー?」
「今さらwww変だからwwww」
「みんなもあると思うよそういうのー。僕だけじゃないと思うー。これ変じゃないよー?」
「鎌田ワールドに言いくるめられると普通の生活出来なくなるからまともに相手しちゃダメwww」
お富さんが真面目な顔で鎌やんと話していた俺に言った。
松永は俺たちの様子は気にせずにただラタン抱きしめてソファに座ってラタンばっかり可愛がってた。
なんかな。
心の隙間埋めるようにラタンにしがみついているように見えたんは俺だけかな。
実際は抱きしめてるのは松永なんやけどね。
「急いで鍋をっ!!さぁ早く食べましょー!!」
「なんで急かすん?」
「やつらが来る!!腐れがっ!!」
あー。吉野と奥田のことやね。
そこまで嫌いか。
「あいつらに食べさせる鍋はないのーっ!!」
「来たよー」
「言ったそばからこの腐れがっ!!おらぁっ!!」
鍋テーブルに置いてモリクミが飛び蹴りをリビングに入って来た吉野にかましてた。
モリクミ見てると思うんよ。
太ましくても重力に逆らって宙に浮くんやなってね。
「モリクミ!!松永君退院したばっかりなんだから!!それなのに鍋っ!?松永君のこと考えてる!?」
吉野が文句を言う。
「黙れクソ!!あーん松永くーん。園芸部伝統の鍋よー!!おいしい!?」
「おいしいです、はい」
「松永くーんがおいしいって言ってるだろーがっ!!てめぇらボッコボッコにされてーの!?あ?」
「なんで僕もですかっ!!」
「ゴキブリと付き合う男は例えちょーっとばかりイケメンでも人間以下なのーっ!!」
奥田もモリクミからゴキブリ認定されたのか.......
「モリクミ鍋挟んで暴れないで。鍋倒さないかハラハラするから」
「お富ー大丈夫-っ!!あーんっ!!鎌田てめぇ!!肉ばっかり食べてんじゃないっ!!」
「野菜嫌いー」
「長野くーんの為にお肉3倍増しであんたの為じゃないっー!!あーん長野くーん。好きなお肉!!お肉ですーっ!」
「自分で取るけんお前の口に運んだ箸で俺に肉をぐいぐい押しつけるな」
モリクミが箸に挟んだ大量の肉を俺の顔に近づける。
松永が少し笑った。
久しぶりに笑顔になったんじゃないか。
モリクミが松永の様子見て箸落して胸に手を置く。
おい......肉も落ちたんだが。
「あぁーん。今心ズキューンってなりましたーんっ!!あーん松永くーんっ!!」
「あの......箸とお肉がテーブルに落ちてますけど」
「あーん!!大丈夫ですーっ!!そこの腐れども処理しろ。早く食え」
「てんめぇえええええ!!僕たちのことなんだと思ってるんだぁああああ!!」
「だからゴキブリ以下だって言ってんの分かんないのーっ!?人間の言葉分からないのぉおお!?」
「暴れなさんな」
これやね。いつもの感じ。
うるさいけどこれが俺らの「日常」やなって。
松永がアワアワしながらテーブル拭いてお富さんがワイン飲みながら口だけだして。
鎌やんは我関せずで鍋食べてた。
モリクミと吉野と奥田が場外乱闘始めてさー。
んで俺が
「お前らいい加減にしろっ!!」
って怒鳴って。
少しずつみんな元の日常に戻って行く。
松永も。
騒がしくてイラッてくること多いけどこっちのがいい。
全員帰って二人きりになった。
「明日から僕何すればいいん?」
「なんもせんでいいよ。主夫してればいい。家でゴロゴロしときー」
「子供おれば主夫って言えるようなやること多いやろうけど掃除も洗濯も料理もそんなに時間かからないよ」
松永は会社を休んで家で過ごすことになってる。
松永はあせってた。
仕事のことも今の急な展開にも。これからのことも。
「子供欲しいね」
「また無理なこと言う」
「二人の子供欲しいなって思わん?」
「残念ながら男性同士では出来ないよ」
「分かってても思っちゃうんさ」
「叶わない夢は見ない方がいいよ」
「分かっとーよ。今日は早く寝よ」
「うん」
ラタンをケージに入れて二人でベッドに横になった。
「久しぶりな気がするな。こうやって並んで寝るの」
「そうだね」
松永の体引き寄せた。
「暑くない?」
「うん。ごめんね」
「心配かけんなやー」
松永が俺の胸に顔うずめた。泣いてた。
松永がよく泣くようになってた。
心が弱くなってるんやろう。
背中撫でたり頭撫でた。
「長野大好きだよ」
「俺も松永大好き」
不安なんやろーな。
エッチはしばらくお預けなんよね。
松永が元に戻るまでは禁欲生活になる。
俺が勝手にそう決めたんやけど。
まぁーそういうのもいいんじゃね?
先の楽しみがあるやん。
そう自分に言い聞かせてた。
二人でいられる時はいつもするようにその日は抱きしめ合って寝た。
出張も残業もしばらくない生活やけん。
家に松永がいないとかどっちかが寝ててこっそりベッドに入るとかお風呂の音気にしたりしなくていい。
毎日抱き合って眠れる。
それもいいことなんじゃないか?
お富さんが言ってた。
「長野君のいいところはパッパラパーでポジティブなところなんだから」
だったらそう思うようにしようって思った。
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