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ブラザーcomplex
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「本当かお兄ちゃんに見せてみろ。確認してやろう」
そう言いながら兄貴は俺の鞄を指さす。渋々肩から鞄をおろして手渡した。
こうなった兄貴を止めるのは骨が折れる。淡々と無表情で迫り寄ってくるのが怖いので言うことはできるだけきいておこう。
大丈夫、何も変なものは入っていないし忘れ物もしていないつもりだ。適当に確認させておいたほうがあとくされがなくていい。一緒に住んでいるからそういうのは少ないほうがいいに決まっている。
「教科書、財布、筆箱、下敷き、弁当箱」
中身を確認していく兄貴になぜかドキドキした。自分の持ち物を隅々まで見られるのはなんだか緊張する。兄貴の冷静な瞳のせいでないはずの緊張感が襲ってくる。
へっ変なもの入ってない、よな?
自信がもろく崩れ去ろうとしたところで兄貴は顔をあげた。
「一通りのものはそろっているな」
「よかったーじゃあもう心配はいらないね。それじゃあ行ってきまーす」
「後、これを入れておけば完璧だ」
「兄貴これなに?この辞書並みに分厚い原稿用紙の束は」
「千晴への愛を綴った文章だ。三日徹夜して書いた」
「重いわっ!物理的にも精神的にも重たいわっ!暇なのかよ!」
「タイトルは「本気で千晴への愛を語ってみた結果辞書並みの分厚さでも足りなかった」だ。昼休みにでも読んでくれ」
「タイトル長!?しかもこれだけ書いてまだ足りなかったのかよ!」
「続編は今晩から書くから楽しみにしておいてくれ」
「ごめん俺としては仕事を優先してほしいかなっていう!てか仕事しろ!」
いつもこんな感じでいつも会話が成り立たない。なぜ兄弟間でまともなコミュニケーションが取れないのか常々不思議だ。
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