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handsomeとlittle girl
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「学校終わるの早いんだな」
「なんか会議があるとかで早く終わったんです」
「そうか」
そこで妙な沈黙が舞い降りる。
まだ本調子じゃない俺と寡黙な東條さんを会わせちゃいけない気がしてくる。
どうにか無理やり気分を浮上させなければ東條さんに俺は根暗だと誤解を招いてしまうかも。
「あんまり落ち込むんじゃねえぞ」
何か気のきいた話題を模索していると、東條さんがさらりと言った。
「え」
俺はまだ東條さんに何も言っていないのに彼は俺が落ち込んでいることにきづいている。
驚いて目を丸くすると戸惑ったような恥ずかしいような何とも言えない表情を浮かべた。
「落ち込んだってどうしようもないんだ。なら次どう頑張るかってことを考えたほうがいい」
たどたどしく渡された言葉はぶっきらぼうに吐き捨てられた。
慰めることはあまり得意じゃないらしい。だけどその分なんだか心に重く染みたような感覚に俺も照れくさくなる。やっぱり東條さんは優しい。
「ありがとうございます!」
「こーちゃん!背中!おしておしてー!びゅんびゅんするの!」
ウタちゃんはきゃっきゃ笑いながらブランコを揺らし始める。
きいきいと錆びた鎖が悲鳴をあげた。子どもながらにパワフルな漕ぎ方だ。
「はいはい。なんだったらアンタの背中も押してやろうか」
「子ども扱いしないでくれますかね!?」
タバコに手を伸ばそうとした東條さんだったが、ウタちゃんの前だということを思い出して小さく息を吐いた。行く当てを失ってなぜか俺の頭の上に下ろされる。
言葉なんてなくても、東條さんの掌の温かさに俺はなんだか悩んでいたのがばからしくなったのを感じたのだった。空はまだ青い。
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