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kissmarkの所有権
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「甲斐田さんーひとつ聞いてもいいかなー?」
「何でしょう」
「甲斐田さんって昨晩はなにをしてたのかなー?」
「部屋で書類を片付けていました。あなたとは違って多忙なので」
そっけない返答に若干の皮肉を混ぜるのを忘れない。笑ってそれを受け流し、椅子に深くもたれて前脚二本を宙に浮かせた。
「へー昨日は大人しくしてたんだねー珍しいなー」
「何が言いたいんですか」
要領を得ぬ赤松の言い草に甲斐田の苛立ち募り片眉を不快げに釣り上げた。
「別にーどうしたの急に怖くなっちゃってーまるで俺が今から何を言うのか心当たりがあるみたいなー」
「そんなものあるはずないでしょう」
「ならそんなにビビらなくてもいいんじゃないかなー?ねー東條さん」
ここが裁判所になってしまったかのような緊迫感が雰囲気を支配する。甲斐田と赤松は対峙して、お互いの腹の底を探り合っていた。
「あー気のせいだったのかなー」
「何がだ」
「一週間前ぐらいに坊ちゃんの部屋のあたりでうろうろして必死にピッキングしてたあの後ろ姿ってやけに甲斐田さんに見えたんだけど気のせ」
「論題がずれてますそれに赤松ばかり疑うのではなく自分自身にも矛先を向けて改まって審議するべきだと思います敵は己の中にいるそうですしここは一度よく昨晩を思い出してみましょうそうしましょう」
やけに早口にまくし立てる甲斐田の勢いに押され話を聞いていた菊次は再び椅子に座りなおした。菊次は赤松だけを疑っていたが、甲斐田のもっともな横やりに萎えてしまった様子だ。
ぎろりと人知れず赤松を睨みつける甲斐田を知らぬ顔をしてそっぽを向く。
頭脳戦なら勝てないが、狡猾な手段なら赤松の得意分野なのだ。
赤松に弱みを握られてしまった甲斐田が彼の不利に繋がるような発言を控えることぐらい、何の合図がなくても賢い甲斐田ならば必ずやる。
そう甲斐田を信じての予想が的中してすっかり調子に乗った赤松だった。
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