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kissmarkの所有権
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「俺は千晴を襲ってないぞ」
先に菊次が自分の無実を証明してきた。慌てた様子はなく、まず自分から疑いの矛先をへし折ってやろうという考えなのだろうか。
「何でそう言い切れるんですか組長」
自分が兄だからとか、千晴が弟だからなどという常識的な理由なら、即座に却下してやろうと赤松は企んでいた。
兄弟間どころか家族の愛情を飛び越えた恋慕を千晴に抱いて常日頃押しつけている菊次がそんなことを言っても説得力がないのである。
愛の押し売りもここまで来るとひどい。他人事のように千晴を哀れに思う赤松たちだったが、彼らも大して違ったことはしていない。
「俺がもしやってるならあの程度では済まないということだ」
得意げに吹かれた煙管の煙が屋根にぶつかって散らばった。
「はっはいはいーい!俺ー!東條さんと甲斐田さんが怪しいんじゃないかなって思うー!」
シーンと静まり返った室内に赤松が手を打つ音が響く。
露骨な下ネタ混ぜてきやがったこのおっさん!と大声で突っ込みたいところだが曲がりなりにも自分たちのボス。もし本音を口にしたら小刀が飛んでくるであろう危険に、チャレンジする馬鹿はこの中にはいなかった。
変な空気になる前に、東條はとても苦い表情で「俺は違う」と小さく否定をする。
「俺がそんなことするわけねえだろうが。俺とお前らを一緒にしないでくれ」
「とか言って坊ちゃんのこと大好きなくせにさーこのむっつりー」
「よし面貸せサングラスが顔にめり込むぐらいタコ殴りにしてやる」
自分が慕っている組頭への信頼に不安を感じていることだろう。実は甲斐田達も同じだった。口に出さないだけで誰しも考えたことだ。
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