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You are the hero
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「いつもはつんつんしてて、怖がりな普通の子なんだけどね。皆がピンチになると黙っていられなくなっちゃうんだよ。自分が危ないって分かっていても動かずにはいられない。そんな優しい子なんだ。大好きなんだよ」
やけに具体的な言葉に何故か反応してしまった。なんでだよ。
俺のことじゃないのに自意識過剰なのもいい加減にしろ俺。頬を軽くつねって戒める。
さっきまでヒロインに自分を重ねていたせいで、俺がほめられているかのように感じてしまう。そんなわけないのに、俺ってアホなのかな。
だって信じてしまうと、一番好きだって言われたのと同じだから。
こいつの好きはビラ配りと大して変わらないから。あんなに真面目な顔をして告げることなんてありえないから。
頭を横に振って邪念を振り払う。平静を保とうと試みて、自分の膝に息を吹きかけた。生暖かい吐息がくすぐったい。
「俺にとってのヒーローは坊ちゃんだよ」
「え?」
小さな声で付け加えられた一言が聞き取れない。
尋ね返そうと口を開いたが、赤松の眼差しは既に俺からテレビへと戻されている。再度聞き返すことも出来ない雰囲気だったので、大人しく俺も画面を向いた。エンディングのロールが流れている。
「あっエンディング始まったーこの歌好きなんだー坊ちゃんはどう思うー?」
「そうだなぁ…」
感想を求められて、ふと口角を歪ませてしまう。
「クソみたいだな。やっぱり」
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