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Japanese dress
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兄貴はいつも着物を着ている。
ザ・日本男子って感じで家の中でも着込んでびしっとしているから疲れないのかなってずっと前から気になっていた。
此処は平成だ。江戸時代ではない。別に着物を着ていないと世間に混じれないというわけではないし。
むしろ着物を着て街を闊歩するほうが不自然とも言える。なのに兄貴はいつも着物を着ている。
俺は不思議でたまらなかったけど、突っ込んじゃいけないことなのかなってそっとしてた。
大人にはいえない事情の一つや二つあるもんだと誰かに教えてもらったことだし。気にしちゃいけないんだきっと。
とか寝る前の独特な心地の中考えた次の日。歯を磨きながらリビングへ入ると、俺は歯ブラシを落としてしまった。泡だち途中の歯磨き粉がフローリングの床に落ちる。ぼたぼたと口の端から歯磨き粉が顎をたどった。
「如何した。歯ブラシ落ちたぞ」
新聞紙を膝に載せながら兄貴が言う。声はいつもどおりの兄貴だけど、姿がいつもとは違った。
目をごしごしと擦って細めて眺めてみるが、幾ら擦ろうが着物ではなくジャージを着ている兄の姿に、代わりは無かった。
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