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「ただいまー」
今夜は久弥が従兄弟と飲みに行ってしまったので、渋々一人でマンションに帰る。
「おかえりー。
アパート決めてきたから。
即入居OK。
親の承諾んトコだけ、宜しく」
リビングに入ると、柳がニヤリと笑って報告してきた。
翌週末を待たずに、アパートを探してきたようだ。
こういう、無駄に行動力がある所には感謝する。
「んでさ、お願いあんだけど」
柳がニヤっと嫌な笑みを浮かべる。
「なんだよ?」
眉をしかめて問い掛ける。
「バイト代貯めてたとはいえ、結構キツいんだよね~。
家電とか、先輩から貰えそうなのは貰うつもりだけどさ。
久弥んトコの家電は、古いから止めとけって言われたし…。
ちょっと出して貰えない?」
柳が肩をすくめて、大して身長は変わらないのに俺を見上げるように見てくる。
手はしっかりとお金のマーク。
「なんだ、そんな事か。
家電は新しいの買え。
貰ったって、棄てるのだって金かかんだから。
買ったついでに無料引き取りで久弥んとこの古いの棄てられるし。
家電と敷金礼金と引っ越し代までは出してやる。
そのくらいの甲斐性はある」
俺だって、一応父親だ。
こいつの為に貯めておいた分もある。
「マジで!?サンキュー!」
柳がニカッと笑う。
「ただし、その分無駄遣いするとかは無しな」
「え~、海外旅行とか行きたいんだけどなぁ…」
俺の言葉に柳が落胆する。
が、海外旅行は無駄でないだろ?
「そういうのは行ってこいよ。
遊べんのは学生のうちだぞ」
思ったまま言う。
その後は、俺の学生時代の旅行の話や、柳が行きたい国の話なんかして。
久しぶりに父子で笑いあった。
最近は、仕事で忙しく、たまに顔を合わせても久弥の心配の話ばかりだったから。
たまにこういう時間もいいかもしれない。
“たまに”ならな。
思いつつも、やはり、久弥との同棲に心踊らせるのだった。
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