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1、僕の執事
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朝。
目が覚める。
僕は寝ぼけている体を叩き起して正面を見る。
「おはようございます、若様」
見覚えのない男が立っていた。
燕尾服を着ている。
ということは…執事か。
僕は、両親と兄が住む本院ではなく、
別院という屋敷に住んでいる。
鷺宮家の屋敷は本院と別院で構成される。
僕が住む別院には、
使用人は数える程度しか置いていない。
家政婦が2人、そして厨房メイドが4人程度だ。
本院には料理長はもちろん執事やメイド、
そして家政婦や厨房メイドもいる。
当然だが、本院にいる使用人は別院より多い。
「……初めて見る顔だけど、誰?」
「これは失礼致しました。ではご挨拶を。お初にお目にかかります。私、本日より梓馬様専属の執事としてお仕えすることになりました。名を雪見と申します。よろしくお願い申し上げます」
この男は僕の執事らしい。
僕の執事なんて、今までつけたことないのに。
…あぁなるほど、父さんの命令か。
「父さんの命令か」
「えぇ。御屋敷の執事としてお召くださったのは旦那様ですが、若様の執事は私自ら名乗り出て、お仕えさせて頂けることになりました」
「そうなんだ。で、下の名前は何?」
「真人でございます」
「ふぅん。真人、良い名前」
「ありがたきお言葉…ありがとうございます」
雪見真人。
今日から僕の執事になる男らしい。
「若様、紅茶をどうぞ」
「ありがと。あのさ、若様呼びはやめてくれる?」
「ですが」
「…2度も言わせるつもり?」
「かしこまりました」
僕は鷺宮グループの息子・鷺宮梓馬。
だけど継承権は無い。
どうしてか。
なぜなら子供を持つことが出来ないからだ。
…僕は、ゲイなのだから。
両親には疎まれているけれど、
8つ上の兄には理解されている。
屋敷の中で唯一、兄だけは信じている。
「雪見」
「はい、何でしょう」
「お前は僕の執事なんだよね。どんな僕でも、仕えてくれる?」
「もちろんでございます。私は梓馬様専属の執事ですから」
「…お前のこと…信じてもいいか?」
「私のような者を信じていただけるのですか?」
「分からない…けれど…何があっても僕を信じて仕えてくれるなら…僕はお前を信じたい」
雪見は僕の目の前に跪き、
力強く、かつ、包み込むような声で言った。
「…梓馬様のことを信じ、誠心誠意お仕えすることを誓います」
僕は雪見という執事を認めることにした。
「僕の執事として仕えることを許可する」
雪見は僕に感謝の礼を示し、微笑んだ。
「朝食の準備が出来ております」
「制服に着替えてから行く」
「かしこまりました」
僕は制服に着替えて食堂に向かった。
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