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8、初めての気持ち 真人side
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次の日。
ご主人様の部屋に入り、カーテンを開ける。
陽の光を浴びて、眠っているご主人様に向かって言う。
「ご起床のお時間です、梓馬様」
「……んぅ…んん…ぁ、おはよう」
「おはようございます」
今日の紅茶はセイロン。
多分、梓馬様が何も仰らなければ、朝は毎日セイロンだと思う。
「うん、美味しい」
「それは何より。本日も学業の方、頑張ってください」
「うん、頑張るよ」
「朝食の準備は出来ております」
「分かった。下がっていいよ」
「かしこまりました、失礼いたします」
俺は部屋を退室して食堂に向かった。
そして椅子を引いて、ご主人様を待つ。
「…お待たせ」
「どうぞ、こちらに」
「ありがとう」
ご着席のサポートをして、俺は傍に控える。
「…今日はトーストか。僕、トースト好きなんだよね。…ん、美味しい。イチゴジャム…美味しそう…んん。美味しい」
「喜んで頂けたようで何よりです」
「嬉しいよ。今日も頑張れそう」
「それは良き事です」
「…雪見、笑わないの?」
「…もちろん笑います。人間ですから」
「そっか。でもお前の笑顔、見てみたい」
「…お断りします。さ、早く召し上がってください」
「…んぅ…」
出来ることなら笑いたい。もちろんそうじゃないか。あの日が無ければ、梓馬様に笑顔を見せていたはず。
「美味しかった…。メイド達にそう伝えて」
「はい」
「じゃ、準備してくるから玄関で待ってて」
「かしこまりました」
俺は片付けをメイドに指示した。そして玄関先でご主人様を待つ。
「雪見」
「梓馬様、ネクタイがずれております」
「…あ、ほんとだ」
「梓馬様、私が」
「ごめん、ありがとう」
「いえ。…直りました」
「ありがとう。じゃあ、行ってきます」
「お気を付けて、行ってらっしゃいませ」
梓馬様を見送った俺は、厨房に向かう。
「梓馬様から、今日のトーストが美味しかったとのことです」
「喜んで頂けましたね!良かったぁ…♪」
「これから毎日、朝はトーストにします?(笑)」
「ふふ、それもいいかも(笑)」
「では失礼します。私は部屋におりますので、何かあれば呼んでください」
「承知しました!」
自室に向かう。
部屋のドアを開けて中に入る。
ベッドに座って、昨日の事を思い出す。
『…雪見、僕の命令を聞いてくれる?』
『…はい、何なりと』
『…僕の体を…愛して欲しい』
『梓馬様のお体を愛す…というのはつまり…』
『僕の体を、舐めまわして欲しいんだ』
…初めての経験だった。
俺は望まれるまま、梓馬様のモノを掴んで気持ち良くして差し上げた。
だが俺の対象は男性ではない。女性だ。
男性との経験はある訳がない。だから初めてだった。
男性を、しかもお仕えしているご主人様の体を愛するなんて。
でも和人様はご存知だった。
梓馬様の事を。
昨日、和人様に梓馬様のことを尋ねた。
『梓馬は可哀想な男なんだ』
『可哀想?何故ですか?』
『…お母様やお父様に自分がゲイだと知られてから、愛されなくなったんだ』
『…なるほど。突き放されたということですか?』
『まぁそうだね。梓馬に見向きもしなくなった。声をかけることも、気にかけることも、お母様もお父様もしなくなった』
『そうだったのですね』
『梓馬は寂しいんだよ。その寂しさを紛らわすために…あんなことを』
『…あんなこととは?』
『雪見くん。もし梓馬が、愛して欲しいって言ってきたら承諾してあげて欲しいんだ』
『…承知致しました』
『俺は梓馬のことを理解しているから、梓馬の気持ちも分かる。俺自身、経験は無いけど、せめて俺だけは分かってやりたいって思った』
『…和人様』
『…でも俺だけでは心もとないと思うから、雪見も、執事として、それに同じ人間として、梓馬のことを理解して受け入れてやって欲しいんだ』
『……そういう事であればご安心を。梓馬様のことは私がお守り致します』
『…うん、お願い。俺はなかなか仕事で別院に行けないからさ。よろしく頼むね』
『承知致しました』
和人様のお言葉もあって梓馬様を受け入れることを決めた。その前に俺は執事。ご主人様がどんな方であれ、お仕えするのが執事の使命。
最初は少し驚いてしまったが、和人様が仰っていたことが頭に浮かんだから、梓馬様のお望みを叶えて差し上げようと思った。
梓馬様のお体を愛する…。
それが、俺の執事としての新たな仕事になった。
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