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16、悩みと不安 梓馬side
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翌朝、僕はいつも通り、雪見の声で起きた。
「おはようございます」
「うん、おはよう、雪見」
気のせいかな。
雪見の顔が少し不機嫌そうに見える。
「雪見、昨日のことで怒ってる?」
「…いえ、とんでもない。怒ってなどおりません。怒る必要があるのですか?」
「あ、いや、別に…」
「申し上げたいことがありますが、夜にしましょう。さぁ、朝食の準備が出来ております」
「うん、ありがとう。行くよ」
僕に言いたいこと…。
やっぱり怒ってるよね…。
とりあえず今は学校の事を考えよう。
「どうぞ」
「ありがとう」
僕は食堂に行き、朝食を食べた。
雪見は変わらず笑わない。
……笑って欲しい…な。
「ご馳走さま。今日も美味しかったよ」
「それは何より。では片付けをして参りますので、のちほど」
「うん、分かった」
僕は部屋に戻り、学校に行く準備をした。
今は雪見の真顔が怖い。
…僕は雪見が好き。でも彼は僕の事……。
「お待たせ」
「お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「うん。行ってきます」
心が篭ってない「行ってらっしゃい」を聞いた感じがする。
やっぱり昨日の事がショックだったのかな。
…好きな相手を怒らせるって…
僕、本当に情けないな…。
「鷺宮、おはよう!元気ないぞ?どうした?」
「あ、速水先生、おはようございます。…いや、ちょっと色々と…」
「そうか、無理するなよ?」
「はい、ありがとうございます」
無理するな…か。
瑞貴に話してみるかな。
「おはよー!梓馬!」
「瑞貴、おはよう。あのさ、ちょっと相談いい?」
「おう、いいけど」
「えっと……」
僕は昨夜の事を全部話した。
「…なるほどなぁ。お前は雪見が怒ってるって思ってるんだよな」
「うん」
「執事のことはよく分かんねぇけど、多分、お前がクラスメイトに抱かせていることを知って、雪見も寂しくなったんじゃないか?」
雪見が…寂しい…?
「?どういうこと?」
「えーっと、そうだな。雪見の立場になって考えてみ?お前の主が、自分以外にも抱かせているってことを知ったらどう思うよ?」
「悲しいし、嫉妬するかも」
「だったら雪見も、同じことを思ってるんじゃないか?」
「そうかな…」
もしそうだとしたら…雪見に申し訳ない…。
ショックを受けたのかな。
彼は僕を主として見ているし、夜の慰めが新しい仕事となっているから、それは自分の役割だと思っていた…。それで怒っているんだとすれば納得がいく。
「まぁ本人の気持ちは本人しか分からないから、聞いてみるといいんじゃねぇか?」
「うん、そうするよ」
「お前、雪見のことが好きなんだな」
「えっ?」
「好きなんだろ?雪見のこと」
「…う、うん」
「やっぱり(笑)…ていうか、俺が好きそうな奴だって言ってたのに、お前が好きになってどうするんだよっ」
「え、そんなこと言ってたっけ?」
「言ってた!この耳で聞いたからな!」
「そ、そっか、ごめん…」
「いや別にいいけど(笑)…まぁお前と雪見のことは応援するからよ」
「ありがとう…瑞貴」
「気にすんな。親友だろ?俺たち」
「え、僕は友人だと思ってたよ?」
「え、まじで…?><」
「嘘だよ(笑)親友だよ」
「っ、お、お前〜!やったなぁ!?」
「何(笑)たまには僕も冗談を言ってみた(笑)」
「…笑ったな。お前にはそれが似合ってる」
「…ありがとう。なんか照れちゃった」
「照れんなよ(笑)」
瑞貴は本当に優しい。
こんな親友を持てて嬉しいな。
雪見のことは…夜に聞いてみることにしよう。
僕は授業をしっかり聞いて勉強した。
たまに雪見のことが脳によぎったけど、彼のためにも頑張ろうと思えた。
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