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17、怒りと悲しみ 真人side
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おかしい…なぜだ。
梓馬様が、執事である俺だけではなく、クラスメイトにも抱かせている…。
なぜ?どうして?梓馬様は俺に頼んできた。
体を愛して欲しい、と。
俺の仕事で、俺の役目だと思っていた。
だというのに…なぜだ?
「雪見さん?」
「……」
「雪見さーん!」
「っ?あ、はい、何でしょうか」
「何かあったんですか?」
「…あ、いえ、何も」
「もしかして、私のこと考えてたりします?//」
「…私は梓馬様の執事ですから」
「…振られた…これは振られた…」
「そういうのはお断りです」
「そ、そう、ですか…ごめんなさい」
…だめだ、昨夜のことを思い出すと、怒りと悲しみでどうにかなってしまう。
「こちらこそごめんなさい。ちょっと考え事をしていて、その感情のまま当たってしまいました」
「あっ、いえ!大丈夫です!…あ、あの、よろしければ、お聞きしますよ」
「いえ、これは私の問題ですので大丈夫です。ありがとうございます、咲宮さん」
「そうですか。雪見さんが良ければ私たちのことも頼ってください」
「はい、ありがとうございます」
いや、本当にこれは俺の問題だ。
母の葬儀の時、梓馬様を一目見て、お仕えしたいと思ったんだ。そしてその夢が叶った今、梓馬様は俺のたった1人の主だと思い、慕っている。
だが…梓馬様は執事の俺に体の愛撫を任せてくれたのではない。俺じゃなくても良かったんだ。いや、もう既に、梓馬様のお体を愛してくれる男がいたんだ。
(どうすればいいんだ…俺…)
そんなことを考えていたら、聞き覚えのある声がした。
「雪見さん」
「あっ、如月さん。どうされたんですか?」
和人様の執事、如月さんだった。
「和人様が夜、梓馬様と話がしたいと仰っておられるからそれを伝えに」
「かしこまりました。梓馬様がご帰宅なさったらお伝えしておきます」
「はい、ありがとうございます。それだけなので私は戻りますね」
「はい」
和人様が梓馬様とお話…か。
昨夜の事を…お話なさるかもしれない。
でも…俺の気持ちはちゃんと伝えたい。
気持ちを伝えられたらあとは、今の梓馬様のままで割り切ろうと思う。果たして本当に割り切れるだろうか。
(そろそろご帰宅のお時間か。急いでお迎えしないと)
俺は急いでお迎えの準備をした。
厨房メイドに夕食を作るように指示し、家政婦に手伝いをするよう指示をして、俺は玄関先に向かった。
「…ただいま」
「おかえりなさいませ。夕食の準備をしておりますので、お部屋で休憩なさってください」
「うん、ありがとう」
肩の力が抜けない。
梓馬様を目の前にすると、やはり昨夜のことが頭から離れない。
今日もクラスメイトに抱かせてきたのか、と考えてしまう。
「梓馬様、夕食の準備ができました」
「今行くね」
食堂にいらした梓馬様を着席させた。
そして如月さんの言伝を伝えた。
「如月さんからの言伝がございます。和人様が今夜、梓馬様と話がしたいと仰っているとのことです」
「和人兄さんが?…分かった、ありがとう」
「いえ」
夕食を終えられた梓馬様は先にお部屋にお戻り頂いた。そして気持ちを落ち着かせるために、片付けの手伝いをした。
片付けを終えた俺は、梓馬様のお部屋に向かった。
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