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パパとお父様③
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「へぇ、アンタがそういう事承諾するなんてめずらしくねえ?」
俺はその日部屋に戻ってから、ドストミウルからビアリーを娘にするという話を聞いた。
アンデッドの仲間内には厳しいドストミウルが、まさかこの間仲間に入ったばかりのビアリーを正式に娘として迎え入れるなんて事、俺はしないと思っていた。
「確かに、珍しい事かもしれないな。だが、私なりの条件は幾つか付けさせてもらった。厳しいことを言うようだが私の娘を名乗りたいと言う以上は覚悟してもらわねばならん。」
「ビアリー泣かしたらぶん殴るからな。」
焦ったようにドストミウルは俺の顔を見た。
「あとさ、人に覚悟を問うなら、アンタもそれなりに覚悟を決めてもらわなきゃ困るからな?」
「彼女を教育する覚悟ならある。もちろん私直々に...」
「そうじゃねえよ!子供を持つ覚悟だ!」
ドストミウルは俺の考えが読めないとでも言うように硬直していた。
「いいか?まずビアリーを娘として認めたなら一緒の部屋で暮らすべきだ、この部屋の出入りも自由にしてやって希望があれば子供部屋を作る、おもちゃと服と鏡を置いてやって...女の子だし、ベッドは天蓋付きのとかがいいかもな!」
はりきってそう語り始めたカノルをドストミウルはただ呆然と見つめた。
「...」
「間違ったことをしてもデカい声で叱らない、叩く殴るとか暴力的な教育は厳禁。間違ったことをしたら目を見てゆっくり言い聞かせてやる。我儘を言ったら話の方向性を変えて言い聞かす。精神的な成人が感じられるまで恋愛禁止、一人で外出禁止。」
「...」
「それから、アンタには一番守って欲しい事。日が昇ってビアリーが寝るまで俺にエロいことしようとするのは無し!」
「...そっ、」
「口答えすんじゃねぇぞ!そのくらい覚悟決めたんだろ、お父様?」
たじろぐドストミウルに一喝いれてから、睨んでやると新米お父様はその上げかけた手をゆっくりと下ろした。
「君がそういうなら...、仕方...あるまい。」
「アンタさあ、まさかだけど俺との娘っていう肩書きに目がくらんでビアリーの事受け入れて無いよな?」
「...ま、さか。私がそんな事で野良アンデッドを娘にするなど!」
少し取り乱したドストミウルの様子に俺は一層眉をひそめた。
「まあいいや。ビアリーとの約束を守るなら俺との約束も守ってね。それだけ。」
俺は表情を緩めてドストミウルに近寄ると、その口枷の上から小さくキスを落とした。
「本当は俺も嬉しいよ。アンタとの本当の子供が出来たみたいでさ。」
カノルが少し照れて笑うと、ドストミウルはカノルの肩を掴んだ。
「カノル...」
見つめあって幸せな気分に浸っていた俺は、視界の端に不穏に動く触手を捉えてすぐにドストミウルを蹴り飛ばしてから後ろに飛んで距離を伸ばした。
「油断も隙もねぇなこの変態!てめぇさっきの約束もう忘れたのか!この甲斐性なし!エロおやじ!」
「いや、しかしまだビアリーと部屋を一緒にした訳では...」
「仕方ないって承諾した時点で約束は有効なんだよ!それくらい王なら理解しやがれ!」
それを聞いてドストミウルは分かりやすくがっかりと肩を落とした。
「うむ...その通り、だな。」
ゆっくりと仕事机に戻るドストミウルをみて俺は呆れてため息をついた。
「日が、昇るまで起きててやるから...もうちょい我慢しろって」
カノルは口を尖らせながら赤い顔で小さくそう言った。
ドストミウルはその言葉を聞き逃す事なく、肩を上げて仕事に戻った。
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