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同盟パーティー!③
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パーティーも終盤に近づいた頃、汚れた食器を運んでいたら執事長に声をかけられた。
「カノル、着替えて旦那様の所へ行きなさい。」
「なんで?やだよ、今日は仕事する約束だもん。」
不満そうな顔をする俺を見て、ヂャパスの爺さんは首を横に振った。
「旦那様がつまらなそうでな、行ってやってはくれんか。」
これはドストミウルの命令と言うよりは、ヂャパスの心遣いなのだとカノルは悟った。
「うーん...。不本意なんだけど、爺さんの頼みって言うなら。」
ヂャパスはゆっくりと頷いた。
俺は少し綺麗めな服を選んで着替えた。
ドストミウルは広間の中央の辺りに、囲むように作られたソファー席にいた。
ソファーの端に座っていたビアリーが初めに俺に気がついて駆け寄って来た。パーティー用に仕立てたフリルの多い赤いドレスが非常に愛らしい。まさに天使、流石俺の娘だ。
足元に飛びつくように来た彼女を俺は抱き上げた。
その様子に気がついて、ドストミウルもこちらを向いた。
「カノル!」
「どう?楽しんでる?手が空いたもんだから早めに切り上げて来たんだけど、俺もそこに座ってもいいかな。」
「早くおいでよーカノル!今日はいいお酒持ってきてたんだから、一緒に飲もうじゃないカ!」
隣に座っていたイフが嬉しそうに手招きをしてくれた。
「酒はいらないけどね。」
ソファーまで行き、ビアリーを下ろすとイフの隣に知らない女性が座っているのに気がついた。
「ああ、コレ、吾輩の娘。アーテリーちゃんだよ、よろしくね。」
「はあ〜い、よろしくねカノル。」
長く美しい黒髪に赤い瞳、アーテリーと呼ばれた若い女性はゆるく挨拶をすると微笑みながらこちらに手を振った。
「はあっ?イフって子供いたの!?」
「吾輩はドストミウルと違ってちゃんと妻子持ちだヨ〜」
「ママには逃げられちゃったけどね、アハハっ!」
アーテリーはそう言って笑っていた。
娘にそう馬鹿にされて笑われてる辺りはイフらしいなとは思った。
「まあ、座りなさいカノル。」
衝撃の事実に座ることを忘れていた。
ドストミウルに横に座るよう促され、やっと腰を落ち着けた。
「良かった。君はてっきり来ないものだと思っていたから。」
「来ないつもりでしたけど。しょうがなくね。」
ビアリーも反対側から詰めるように寄り添ってきた。
「膝乗る?」
俺がそう聞くとビアリーは嬉しそうに頷いた。
ビアリーを抱き上げると、膝に乗せた。
「賑やかだね。」
「パーティーは毎年行っているが、こんな日が来るとは思わなかった。」
「こんな日って?」
「君と...、家族と過ごせる日がね。」
しみじみとドストミウルがそんな風に言うものだから、俺は驚いてしばらくドストミウルの顔を見つめていた。
「ほら、カノル!飲み物でもどう?」
イフがそう言いながらグラスを差し出していた。
俺がそれを受け取ると、ビアリーは膝から降り俺が食べられそうなクッキーや果物を探して来てくれた。
「何にするかね。」
ドストミウルがそう聞いた。
「今日ぐらいは、高いお酒でも貰おうかな。」
俺がそう言って笑うと、ドストミウルも優しく頷いた。
うるさくてやかましいのは嫌いだけど、たまにはこういうのも悪くないかなって思ったのは久しぶりに飲んだ酒が美味かったせいだけじゃ無さそうだった。
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