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友達訪問!①
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「ギャリアーノの所に行くのだが一緒にいくかね?」
日が暮れ始めた頃アンデッド達が起き始めるのをベッドでごろごろしながら退屈そうに待っていたらドストミウルに声をかけられた。
イフの家か、そういえばそんなに行ったことがない。以前に喧嘩して腹いせに逃げ込んだとき以来だろうか。あの時もたいして長居してないし、広い家なのに中を全然知らない。あの豪邸の中を一度は探検してみたいものだ。
「行こっかな。」
俺が答えるとドストミウルは少し嬉しそうに頷いた。
イフの古いお城みたいな豪邸は何回見ても凄い。
彫刻と噴水のある薔薇が咲き誇る広い庭、綺麗に敷き詰められた石畳、部屋にはアンティークな家具と高級感のあるカーテンや絨毯。
隣の芝は青く見える、いや、実際に腹が立つほど真っ青な気がする。
ビアリーも誘ってみたが今日は友達と集まって何かをやる約束があるらしいので断られた。子供が増えて喜んだバーバラは最近チビ達を集めて色々なことをやっているらしいのだ、少し覗いたことがあるがもはや幼稚園と化している。ビアリーもそれを楽しんでいるようなので良い事だ。
ドストミウルに抱えられながら玄関先に着くとヴァンパイアのメイドが数名出迎えてくれた。メイドの質も違うと思うのは思い込みだろうか、なんかみんな美人でスタイルが良い。あか抜けない顔をした新人っぽい子も居るがおっぱいは大きい。
「使用人が気になるのか」
「おっぱいでかいなーって」
「!?」
ドストミウルが硬直した。ショックを受けるほどの明らかな嫉妬心が見える。
「いやいや、俺だって男だし。普通に女の方が好きだよ…アンタは別。」
「別…とは?」
「うっせえな、いちいちつっかかんじゃねえよ!」
情けないくらいに分かりやすく照れてしまった俺を見てドストミウルはそれ以上何も言わなかった。はたからみたら痴話喧嘩だ、なんだこんなの、恥ずかしい。
「あれれれっ!珍しいじゃないの、ちんちくりんが付いてくるなんテ!」
イフの部屋に入ったら細い目を膨らませて驚かれた。
「んだよチンチクリンって!あ、そうやって俺の居ないところでいつもバカにしてたんだろ?」
「まっさか!君みたいな田舎者の子供の話なんていちいちしないサ!」
こうやっていちいち難癖付けてくる割にイフは良いやつだ。最初は苦手だったけど、今ではちゃんと人の事考えててくれるってのは知ってる。こうやって言い放題言われるけど逆に言い放題言って良いと言われてる気がして、かえって気持ちが良いくらいだ。
「なんだかんだお客さんは多い方がいいよネ。ささ、適当に座って座って。」
「え、ねえねえ。俺、イフの家久しぶりだし探検したいんだけど。」
イフは少し驚いてからにやりと誇らしげに笑った。
「ふふん、万年貧乏には目が眩むような豪邸だからネ、特別に拝観料タダで見せてあげるヨ!」
「万年つったらドストミウルも貧乏みてえじゃん。」
「でもボロやなのは事実でショ?」
俺とイフがふざけた言い合いをしていたら先に座っていたドストミウルがゆっくりとこちらを見た。
「趣があると言ってもらいたいものだ。あれはあれで保つのが難しい、皆が好きな環境を努力して維持している。」
「そうだそうだ、俺ら使用人達の頑張りを無下にするな!」
「一番サボってる奴が言うかね、ホント…」
ほぼ戦力外の俺の後方支援にあきれたようにイフはため息を付いた。
そこで、コンコンと扉が優しくノックされる。
「パパ?…あら、騒がしいと思ってたら、いらしてたんですねおじ様!あとカノルくんも。」
入り口を開けてひょっこり顔を覗かせたのはイフの娘のアーテリーだった。
「カノルでいいよ。何か用?」
「それ吾輩のセリフ。」
そのやり取りにアーテリーはふふっと笑った。
黒髪をなびかせて笑う彼女は使用人達を越えてスタイルがよく、めちゃくちゃ美人だ。人間だったらモデルとか女優をしていて不思議ではない。
「この間パパが読んでた本探してるんだけど見つからなくって。」
「ああ、書庫に戻しちゃったヨ。また出しておこうか?」
「ううん、いいの。暇だし探してくるわね。」
部屋を去ろうとするアーテリーを父が呼び止める。
「あ、じゃ、ついでにこの好奇心旺盛な見学者も連れてってヨ。歴史ある我が城を探検したいそうだ。我々はここで話してるから二人で行ってきなヨ。」
「俺?一緒にいいの?」
「良いわよ。私もカノルの事もっと知りたいし。」
アーテリーは嬉しそうに微笑みかけてくれた。笑顔咲くと美人は余計に輝かしく見える。これで本当にイフの娘なんだろうか。
俺がじっとアーテリーを見ていたら背後に黒いオーラを感じて振り替える。
「アーテリーに手を出したら殺すヨ。」
「カノル、無いとは思うが…」
二人して殺気を放っている、アンデッドのトップはこんなのばっかでいいのか、みっともない。
「待て待て、おっさん達圧が強すぎ。お互い不可侵条約で、な?アーテリー。」
「おっけー、パパもおじ様も安心して。めちゃくちゃ年下だし興味ないから!」
胸に手を当てて誇らしげにアーテリーは言い放った。
そうだよな、よく考えなくても分かることだ。アンデッドのヴァンパイアだし、イフの娘だし、見た目は年が近く見えても桁のひとつやふたつ違うのかも知れない。興味がないと言われたのと年齢差を痛感して俺は何気にショックを受けた。
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