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おばけ屋敷の宝①
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なにを平和と呼ぶかは人それぞれだ。
争いの有無、トラブルとの遭遇、健康を害したりなんて些細なことでも平和は崩れてしまう。
そんな中で比較的強固に平和と呼べる日々を俺はおくっている。
外ではひとが悲鳴をあげながら魔王の手下に追われていたとしても、俺には関係の無い話しだ。なんたって今の俺は魔王側についているから。
日が暮れてアンデッド達が活動を始めた頃。
俺はそんなことを考えながら、寝床から起き上がってきた娘の髪をとかしていた。
ビアリーはまだ欠伸をしながら、少しに眠そうに目をこすっていた。大きく口を開けた横顔を見ようと顔を覗き込むとビアリーは恥ずかしそうに笑った。
「ビアは寝起き悪いよな。アンデッドも寝起きの感覚ってそれぞれ違うもんなのかな?」
俺の問いに聞こえる声で答えられない娘は首を傾げた。たぶんビアリーもよく知らないのだろう。
「俺は寝起きはいい方なんだけどね。まあ、ちゃんと眠れた日の話しだけど。」
ビアリーは俺の顔を見ようとしたのか少し顔を後ろに向かせた。
「今日は大丈夫だよ。割とよく寝た方だから。」
それを聞くとビアリーは安心したように頷いた。
そこでドンと、大きくドアが開く音が部屋に響いた。
開いたドアの元にいたのはドストミウルとヂャパスだった。
「寝起きからうるさいです。ドアはもっと丁寧に開けてくれる?」
ドストミウルはすっとこちらに飛んできた。
「驚かせてすまない。いや、どうやら森に人間が居るらしくてアンデッドたちがざわついているのだ。」
それを聞いてカノルは手を止め少し表情を曇らせた。
「何人くらい?冒険者?」
一度勇者によってドストミウルを失ったカノルは、その手の話を酷く警戒していた。あれは本当の所勇者に化けた魔王だったし、ドストミウルもすぐに復活したから良かったが、アンデッドが人間と敵対している以上ドストミウルを倒そうというものはどこかしらにいる。
「それが、装備もろくに無い人間の子供が1人のようじゃてな。害は無さそうだから今のところ観察に留めているが、方向的にはこちらに向かっているらしいのだと。」
ヂャパスは落ち着いた声でそう話た。
「人間の子供が?1人で?」
カノルは先程よりは警戒を解いた声でそう聞き返した。
「恐らくは迷い子だと予測はしとるよ。屋敷まで来る前に狩るように致しましょう旦那様。」
ヂャパスはカノルに補足をした後、ドストミウルを見上げてそう言った。
「うむ。敵視されていないとはいえ、勝手に敷地に入られては面倒だからな。」
「子供なんでしょ?なあ、逃がしてやっちゃダメなの?」
カノルは話に混ざるようにドストミウル達に近寄った。
「追い返そうとして一度スケルトンが驚かせたらしいが振り切って真っ直ぐこちらに来ているらしいんじゃ。何が目的かは知らんが屋敷まで来られると穏やかではない。」
「...」
カノルは考え込むように視線を落とした。
「君が幼子を大切に思う気持ちは分かるが、ただの子供では無いという可能性も完全に否定は出来ない。」
「直接聞いてみるのは?」
「君に行かせることは禁ずる。」
ドストミウルは鋭く答えた。
カノルは眉間にシワをよせながらうつむいて、しばらく考え込んでいた。
「んー…じゃあちょっと俺に考えがあるんだけど、乗らない?屋敷の奴らも少し楽しめるかもしれないし!」
ビアリーは不思議そうにカノルの顔を見つめていた。
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