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過ち①
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特別野望がある訳では無い、欲もそこまで深くはない。向上心はあるものの、人を蹴落としてまで這い上がる野心もない。
ただ、長くこの世にいる限り譲れないもののひとつやふたつ出来てしまうのは仕方のない事ではないだろうか。
例えば譲れない程に手に入れたいものが他人のものであったら、我慢するしかないのだろうか。それとも、全てを捨ててでも手にするべきだろうか。
そんな葛藤を続ける日々だ。
この感情を恋と呼ぶなら、それは酷く歪んでいるのかもしれない。
せめて姿を眺めるくらいは...
せめて目を合わせるくらいは、 話をするくらいは、触れるくらいは...そんな塵のように積もった汚い欲が胸の内に溜まり、さりげなく距離を縮めていった。
いけないことだとは分かっている。
なんて愚かしい行為だ、大切な人を裏切り、何より本人の信頼を裏切っている。
許されざる行為だと何度も自分に言い聞かせた、それでもこの想いは止められなかった。
もしこの事実を告げたらなんて顔をされるだろうか。驚く、嫌悪される、酷く蔑まれるだろうか。
いっそそうされてしまった方が楽なのかもしれない。完全に遠ざけられ、禁じられてしまった方が諦めがつくかもしれない。
でも、そんな事にはならずにまた変わらずに顔を合わせてしまうのだろう。
今日も背徳感を抱きながら、無防備に眠った彼にそっと口付けをする。
ああ、なんて幸せな時だ。
この瞬間だけはまるで自分のものになったような気分になる。
ああ、この気持ちをいつまでも留めることができようか!!
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