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おいおいおい、嘘だろ???
俺は目の前の成績掲示板を見て愕然としていた。
勝負がかかったこのテスト
時間がない中、必死で勉強した。もういつも以上に気合を入れて。
おかげで自己ベストの点数は更新
なのに、
名前の並び順はいつも通りで、
あろうことか上月は満点を叩き出していた。
全教科満点ってどういうことだよおおおお
うわーーーっと頭を抱えていると、ぽんっと肩に手が乗せられて、嫌な予感がした。
「…ってことで、橘くん、
ちょっと来てくれるかな?」
声のした方に顔の向きを変えると、ニッコリと笑った上月がいた。
神さま、僕はどうなってしまうのでしょうか…
*****
「勝負は俺の勝ちってことで、まあいつも通りの結果だな」
「お、お前、全教科満点ってどうやったら取れるんだよっ…!」
「んー、まあちょっと本気出してみたよね」
ハハハと乾いた笑い声を出す上月。
本当に腹たつな…
「んで、約束覚えてるよな?」
1人イラッとしていると、本題に話題が移されて心臓が嫌な音を立てる。
「お、おぼえてる…け、けど!!」
「んー?」
ジリジリと一歩ずつ距離を詰めてくる上月にしどろもどろになる俺。
「そのっ…お、俺が出来る範囲で…や、らしすぎるの…とかは…勘弁してっ…」
恥ずかしさにプルプル震えながらいうと、ククッとすごーく意地悪く上月が笑った。
「なーにやらしい想像してんの…?そういうのされたいなら考えるけど…はる、エッチだなぁ…」
「んなっ!!ちが、う!!」
胸元をツーっとなぞられながら、耳元で熱っぽく囁く上月に、背中が粟立つ。
エッチって、
いつもそういうことしてくるのお前だろぉぉ!!
恥ずかしさで口がワナワナ震えて、うまく反論できない俺をみて、また上月は楽しそうに笑うから余計に腹がたつ。
俺のことすぐバカにしやがって…っ
このエロ魔王!!!!
「そういうんじゃなくて、ん、これ」
心の中で罵倒していると、上月がスマホの画面を目の前に示してきた。
???
「は、なび…大会………?」
「そ。うちの近所で毎年やってる割と大きい花火大会」
「あぁ、ここらでは有名だよな……」
俺も何度か行ったことがあるから知ってはいるのだが、
これがなにに関係するのかわからぬままぽかんと画面を見つめていると、
「この日、17時に第一公園集合」
………は??
「え、え、それって…?」
「一緒に行くぞ。俺のいうこと1つ聞くんだろ?」
そんなことか、と拍子抜けするとともに
デートの3文字が頭に浮かんだ。
「あ、えっと、執行部のみんなで行く…とか?」
デートの3文字を打ち消すように考えられる可能性をもとに質問したのだが、
「2人で」
「あ…お、おう…」
2人と即答されて、顔が思わず赤くなった。
デート、じゃん…!
「…いやか?」
「う、ううん…!行くっ!行きますっ!」
「…そ」
上月にしては珍しく不安そうな色が滲んだ表情で尋ねられた。
誤解されないようにと食い気味で返事をすれば、上月は少し嬉しそうな表情を滲ませた。
その表情に俺の心にもふわりと幸せな気持ちが湧き上がる。
「夏祭りとか久しぶりだ…」
「俺も。…あ、浴衣、着てこいよ」
「うえっ?!いや、俺浴衣着たことない…」
「絶対浴衣、な?」
「え、ええー…」
異論は認めんとばかりの圧にたじたじな俺にふっと上月が笑う。その表情にまた俺の心臓は鼓動をはやめるのだ。
「楽しみにしてる」
横暴な要求で困るのに、
上月が嬉しそうな表情をするもんだから、
浴衣着よう、とか心の中で決心してしまう俺は、
多分恋に浮かされたバカなんだと思う。
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