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はじめてのおともだち
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部屋にカードキーを通し、部屋の扉を開けるといい匂いがする。部屋に入ると、シノが料理をしていた。
「シキおかえり。作ったけど食べる?」
シノが嫁に見えた。あれだ、「おかえりなさい、アナタ。ごはんにする?お風呂にする?それとも、ワ・タ・シ?」っていうやつ。…疲れすぎて頭が湧き始めた。
「あ、食べる」
俺は急いで自室に引っ込み、トレーナーに着替え自室を出るとシノは皿によそって、テーブルに置くところだった。
「ほら、座った座った。お腹減った?」
「めっちゃ減った。ありがとう」
床に座り、テーブルに置かれたご飯を前に目を輝かせる。胃の中身が、下にぐっと下がった気がする。回鍋肉に似た料理とジャガイモの味噌汁とホカホカの白米に心が躍る。シノが座ったところで、二人でいただきますをして、食べ始める。
「シノ、料理できるんだ?」
シノに聞きながら、頬に飯をいっぱい詰め込んだ。
「んー?人並みにね。寮生活だからさ、やっぱり節約しなきゃね。他の皆は大体お金持ってる人多いから食堂の人多いけど、俺は特待生だしね」
やはりこの学校はエリートが多いだけあって、金持ちが多いのかもしれない。毎日三食食堂で金を払っていたら安月給の俺にとってはかなり痛い。
「へぇ、そうなんだ。あー、美味いわあー」
こういう日本食に近いもんを食べられるのは、かなり嬉しいし胃が喜んでいる。こういう飯を毎日食えたなら、幸せだろう。
「シキ、俺、昼は食堂だけど、朝夜作ってるからこれから作ろうか?」
「えっ、それすっごい嬉しいわ」
シノのその言葉に、思わず素直に喜んでしまった。俺の反応に、少し笑ったシノは「じゃあそういうことで」なんて簡単に許可してくれる。
「食費出すから、言ってくれ」
やはり作ってもらうだけでは申し訳ない。せめて金は出させてほしい。
「りょーかい。あ、これ食べたら風呂入ってきなよ、お湯は張ってあるから」
俺のハートを鷲掴みなんですが、あなたは嫁かそれとも俺の母ちゃんですか?
シノの優しさに甘えすぎかもしれないが、俺にとって初めてできた学友だ。舞い上がっているのは自覚している。「ごちそうさまでした」と一言言うと「お粗末サマでした」と返事がくる。自分の分の食器を洗って、お言葉に甘えて一番風呂をもらう。
出だしは順調。湯気の中で、笑みを零した。
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