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序章【出会い 浅原side】
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■ー□ー■ 序章 ■ー□ー■
【出会い 浅原side】
「はーるかーぜちゃんっ」
「……てめ次それで呼んだらぶっ殺す」
新歓コンパの空気が止まった。小さな声だった。低い声だった。それでもピリリと緊張感は走って、皆が一斉にある人物を見た。
「……………あ、…………やだ、冗談っすよ」
殺す、と呟いた彼は焦って笑う。ひらひら手を降って、取り繕う。明るいふわふわした茶髪に、安っぽいパーカー。見た目は可愛い系の男の子。
え、この子が?
「やだー、もー、ちょー怖かった」
「え、ほんとに今の、君? ウケんだけど」
女の子に絡まれて、テレテレしてる。場も和やかさを取り戻して、また各々話を繰り広げる。俺はしばらくじっとその子を見ていた。
……………しばらく女の子と楽しそうに喋ってから、はるかぜちゃん、と口にして横に座った男に、小言で何かを呟く。眼鏡男子は謝ってる。あ、また怖い顔。仲いいのかな、こいつら。
目があった。
ヘラヘラ笑って、手を振られた。
かっる。
なにあれ。
「なーに。気になんの」
隣に座っていた男が、俺の腰に手を回す。露骨だなあ。まあ、いっか。このあとお持ち帰りする展開は、既に確定済みだし。
「んー。や? あれ同い年なんかなあって思って」
「え、そだよ。同じ一年。しょっぱな挨拶してたじゃん」
「俺、途中から来たから」
大学一年生。適当になんかする会。ただしヤリサーではない。新歓コンパ。つかヤリサーなら入ってねえわ。俺ゲイだし。
「えーと………フカヤくん? だって」
腰から手を離し、配られた席順と、簡単な自己紹介を載せたA4を見せてくれる。俺も貰ったけど、わざと顔を近づけて覗きこんだ。あ、ドキドキしてくれてる。可愛い。
深谷 春風(フカヤ ハルカゼ)。
なるほど、それではるかぜちゃん。
あーいうチャラついた子の親だ。さぞかし頭ん中がお花畑なんだろうなと思う。ま、どうでもいいけど。
「……………早めに抜けよっか?」
プリントをまだ見ているふりをして、小声で呟く。大学に入って早々、なかなかの上玉を捕まえたんだ。顔もいいしガタイも悪くない。早くヤりたい。
「…………うん。まあ、もうちょいしてからね?」
頭も悪くない。いちゃつくのはそこまでにして、お互い他の人とも話をする。ヤリサーじゃないと断固宣言されたこの場は、ゆるくて楽でいい。そりゃ確かに、どうしても大学生になりたてで、浮かれたい奴だっているけど。
「えっ、浅原さんってゲイなんですか!」
しょっぱなからカミングアウトしてみた。別に俺だって言いふらしたくはない。聞かれたら答えるだけ。意外と女子にはウケる話題らしい。ヒく男子には、あ、大丈夫と冷めた目で断りをいれる。
「あ、大丈夫。俺、相当面食いだから。逆にごめんね?」
嫌われて、もともと。そんなんで遠ざかる奴なら、俺だって要らない。ホモが生理的に無理な奴だって、いるしな。
「イケメン自重しろよ」
「いや待て、ゆづる。こう考えるんだ。逆に女食われなくてよかったなと」
「なるほど栃木くん。一理ある」
「の前にー! 俺らそもそも女の子に手ぇ出せないけどなー!」
「今も目ぇ合わせられませーん!」
あー。そこそこ偏差値高い大学でよかった。
楽だわー。
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