アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
……………出会いから1ヶ月ちょいで、わかったこと。
浅原は同学部の別学科。成績は優秀らしい。男女ともに人気。わりと目立つ。
あと本当にホモらしい。
いや、見たけどさ。男とちゅーしてっとこ。
とっかえひっかえヤりまくってるとか、なんとか。教室の全員はもう食われたとか。実は女もイケるとか。噂はあることないこと広まって、もうどれが事実なのか疑わしい。
「……………あれ、そーいや今日はアキヨシくん居ないの」
美人の存在をキョロキョロ探す。だいたい、サークルに顔出すとき、二人は一緒だ。
「あー。あいつ? 日焼けするから来ねえってさ」
「なんだそれ」
「だよなー」
「あー。深谷くんだ」
女子に手を振られたので振り返す。横から肩を抱かれた。
「今俺と喋ってんだけどー?」
「はー? うるせー浅原」
「深谷くん、そんなのに捕まっちゃ駄目だよー」
「捕まってねえし。………いや今は捕まえられてっけど」
慌てて逃れる。俺ホモじゃねえし。
「サークルのイケメン食ったんだから他のには手ぇ出すなよ」
女の子が言う。
「あはー。ごめんごめん」
「アキヨシくん目の保養だったのにぃ」
「えー、目の保養だったら別にリアルどうでもよくない?」
「やだ。ディテールがやだ」
「なにそれ。女ってこっわ」
俺も一応イケメンなのになあ、と言ってしまえる浅原はすごい。
「イケメンとイケメンが出来てちゃ需要ねーんだよバカ」
「ごめんねソッコーでヤっちゃって」
「ねーやだ。こんな爽やかなとこで汚い話しないで」
「ごめんごめん」
「てゆーか、深谷くん喋りたかったんだよねー」
「そーそー。だいたい水野くんと仲良くしてるからさー」
「え、そう?」
あ、そうかも。
そこから怒涛の質問攻めで、気付いたら目的地の高台まで着いていた。見晴らしのいいスペース。展望台に登ってはるか遠くまで見渡す。
「……………………お。水野くん」
浅原に言われて近くへ視線を戻す。今辿り着いたのか。やべえ、存在忘れてた。ああ、でも、他の奴らに囲まれて、喋ってる。よかったじゃん、友達増えて。
…………………とか、俺って何様なんだろう。
視線に気づいて、むこうが手を振った。俺も振り返す。
あいつの人生が、この先アホみたいにいいことばかりでありますように。
「……………いいなあ、友達」
浅原が横で小さく言った。
「……………お前だって友達いっぱいいんじゃん」
「いるけどぉー。そんなに仲良くないですしぃー」
「仲良くなればいんじゃないですかぁー」
「だからぁー。俺の場合は変な意味で仲良くなっちゃうのぉー」
「よかったねぇー」
風に吹かれて、言葉は相手に届いた先からさらわれる。モテるホモって大変だな。そうそうホモっていないと思うけど。あ、だから、友達作りにくいのか。寄ってくるのはその気がある奴だけだもんな。なるほど。
友達って難しい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 197