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あれから数週間が経っても、ひろとさんは目覚めなかった。
「今の髙梨さんは、大きく消耗した体力を補うために眠り続けています。暫くすればいずれ目覚めますよ」
医者にはそう言われたが、どうしても心配だ。
毎日大学帰り、病院に通って様子を見ているが特に変わった様子もない。
このまま死んでしまったら、と思うと目の前が真っ暗になって怖い。
家に帰宅すると、玄関で伍さんが待っていた。
「秋君。ご飯はちゃんと食べなきゃ。ひろとが目覚めたときに秋君が具合悪かったらショック受けちゃうでしょ」
いつもならそのまま部屋に直行するはずが、手をひかれて椅子に座った。
「無理すんなよ」
柚希さんにも頭をぽんぽんと撫でられた。
「……ごめんなさい…」
そう謝ると、二人は困ったように笑った。
夕食を食べ終え、柚希さんに呼ばれてソファーに座った。
「ひろさんどうだった?」
「特に何も…まだ寝たままです」
「そか。今度オフの日についていってもいい?」
柚希さんは普段モデルの仕事があり、伍さんはデザインの仕事があるため病院に行けていない。
「いいですよ。いつがいいですか?」
「じゃー早速明日」
「了解です」
待ち合わせ場所や時間を確認していると、伍さんもソファーに来た。
「なになに?病院行くなら僕も行きたい」
「明日大学前15時です」
「……がんばる」
あれしてこれして…と明日のことを疲れた顔で考える伍さんを見て、柚希さんと笑った。
お風呂にも入り終え、久しぶりにソファーに座ってテレビを見ていると、柚希さんが隣に座った。
「よいしょっと」
暫く沈黙が流れ、テレビの音だけが聞こえる。
「ちょっと膝かして」
「?」
すると頭を太ももに乗せた。
「!?だ、だめですよ?」
「だって最近アツ君甘えさせてくれないんだもん」
そうは言っても俺は柚希さんの恋人ではない。
「う……伍さんがお風呂から上がってくるまでですからね」
「わかってる」
とは言ったものの、もうそろそろ睡魔が襲ってくる頃だ。
(寝たらだ…め……)
ぶつんとスイッチが切れたように、久しぶりに深い眠りについた。
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