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「伍。久しぶりだね」
「そうだね。ひろと」
まだ小さく泣き続ける俺を抱き締めながら会話を始めた。
「家で秋はどう?」
「普通に良い子でびっくりしたよ。まぁ最初こそビックリしたけど」
そういって俺を見た。
「ひろさん」
「ん?」
「俺も秋クン抱っこしたい」
「駄目ですー。これは俺のだから」
そういって頭ごと抱えて抱き締めた。
「えーちょっとだけだって」
「柚希くんにはあつむがいるでしょ。嫉妬しちゃうよ?」
ちらっと伍さんを見ると、困った顔をしていた。
少し試そうと思い、立ち上がって伍さんに抱き付いた。
「あ、秋君……?」
暫く沈黙が流れる。
「…秋クン、アツ君は俺の」
そういって俺を引き剥がすと、見せつけるように抱き寄せた。
「お熱いことで♡」
ひろとさんがからかうように言い、伍さんは顔を真っ赤にした。
俺はというと、ひろとさんの膝の上に戻って胸に寄りかかった。
頭を撫でてほしくて、手を頭に乗っけると撫で続けてくれた。
「秋。来週には退院できるって」
「ほんと?」
「うん。傷はもう塞がってるし、重症になってた臓器も回復傾向にあるからって」
心の底から安心したとき、気が抜けてしまったのか、起き上がれなくなってしまった。
「長い間ごめんね。よく頑張ったね」
力の抜けきった俺を抱き抱え、帰るときまでイチャイチャとし続けた。
そして数日後。
やっと退院できる日がきた。
「俺たちひろさんのケーキつくって待ってる」
「秋君が迎えにいってあげて」
そう言われて家を出た。
電車に揺られながら窓の外を眺める。
病院につき、ひろとさんの荷物を持って先生と話した。
暫く通院が必要みたいだ。
「ありがとうございました」
頭を下げてお礼を言い、病院を出てタクシーを呼んだ。
「あっちぃ…寝てる間に季節変わっちゃったかぁ」
「ほんとだよ全く…」
「なーに拗ねてんの」
涼しいタクシーの車内で、頬を膨らませると両脇から潰された。
家に着き、玄関を開ける。
「あ、そうだ」
まだ家に入りきれていないひろとさんに向かい合い、口を開く。
「おかえりなさい。ひろとさん。」
すると、ひろとさんはふふふと笑って返事に口を開いた。
「ただいま。秋。」
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