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過呼吸3 SideG
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sideG
きらきらとピンクやオレンジの光を放つ、東京の夜。
俺の住んでいる場所も似たようなものだが、やっぱりこっちのほうが断然眩しい。
居酒屋からでた俺は外の空気の冷たさにぶるりと震えた。
え?居酒屋にいる理由?
キヨにご飯に誘われたから、かな。
多分ご飯だけでは終わらないけど。
俺に続いて店から出てきたキヨがグレーのコートを羽織る。
うぅ寒っ、と呻いて、俺の傍に擦り寄ってきた。
「…さむい、がっちさん」
「俺に報告してどうにかなるものなのw俺も寒いよー」
ん、と俺の目の前に手が差し出される。
…あぁ手繋ぎたいのかな。あったまるし。
よくつるむ人の中では俺が最年長というのもあって、俺の前でだけキヨは少し子どもっぽくなる。
最年長の特権、俺にしか見えない景色。
…どう?羨ましいでしょ、レトさん。
「ほんとにキヨは子供みたいだなぁ」
「なにそれ!がっちさんにだけは言われたくないんですけど!」
「ほらぁそうゆうとこ」
むすっと拗ねたキヨが手を引っ込めようとするから、その前にその手をとってポケットに滑り込ませる。
謝罪の意味も込めて手を強く握ると、キヨは照れたようにそっぽを向いてしまった。
こんなにも幼くて、無邪気なこの人を。
指輪だけで縛り付けるなんて、ねぇ。
子供っぽいから、幼いがゆえに。
つなぎとめておこうとしてもするりとかわしていく、それがキヨという人だ。
でも繋がれた手にそれがついているというだけで少し嫉妬を覚えてしまうのもまた事実。
そこらへんは流石だなぁ、とここにはいない鼻声の彼を尊敬する。
うっしーだけに目がいきがちだけれど、レトさんもかなり嫉妬深い。
「…ねぇ、がっちさん」
ひとり物思いに耽っていると、隣でキヨが足をとめた。
何事か尋ねると、何も言わずに近くの建物を指差した。
「…ふふ、キヨもしかしてこの為にご飯誘ったの?」
「ちがっ…!く、は…ない、けど………」
真っ赤な顔のキヨが恥ずかしそうに俯く。
それがまた可愛くて、俺はキヨの手を強くにぎり、ピンク色の光へ足を向けた。
────────────────────
「…がっちさんってさ、」
「ん?」
ホテルの部屋に入り、ソファに腰掛けたキヨが思い出したように呟く。
「年齢の割には結構食べる方だよね」
「んー…そうでもないけど」
「いや絶対そうだって!!今日の飯俺より食ってたじゃん!!!まだ20代の俺より!」
「そこ強調しないの俺が悲しくなるでしょー。でも確かに今日は腹減ってた。突然どうしたのそんな話してさ。」
グレーのコートをソファの背にかけ、スマホを見ていたキヨの動きが固まった。
少し赤くなった顔をこちらに向け、遠慮がちに俺のそばのベッドに座る。
「……や、ほんとに大したことじゃないんだけど」
「いいよ別に」
「…………食欲が強い人って、性欲も強いっていうじゃん、がっちさんもそうなのかなって…」
…ほんのり色付いた頬、潤んだ瞳、か細い声。
じわ、と唾が溢れてきて、それを悟られないように飲み下す。
「……そうだったら、キヨはどうするの?」
あえて意地悪な言い方をすると、さらに頬が赤くなる。
…食欲と性欲ね。
俺の場合は少し違うかも。
まず、俺はレトさんやうっしーみたいにキヨが好きなのかどうかが分からない。
キヨとするのは好きだし、自分のものにしたいとも思う。
…けど、それ以上に。
最近キヨを見てると、妙に…………腹が、減る。
今だって、ほら。
さっき夕飯を食べてきたはずなのに。
もう腹が減って仕方がない。
無言の俺をキヨが不安そうに見上げてくる。
俺はその白い肌に噛み付いた。
「い゛っ!!!!たぁ……がっちさ、痛いって…!」
…別にカニバリズム的嗜好を持つ訳では無いから、なんでキヨだけに食欲を唆られるのかは分からない。
まぁでも言えることはひとつ。
レトさんもうっしーも、キヨを狙うならはやくした方がいいと思いますよぅ
横から俺にぺろっと食べられちゃう前に、ね。
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