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「…なら、来週また合コン組むんだけど、その時にお前呼んでいいか??」
佐藤ォォォッ‼おま…っ、先輩に弱みでも握られてんのかよっ‼それか、女子か‼そんなに女子が欲しいか‼?ええっ!?彼女できたら人生大逆転とか本気で思ってんのか、てめぇっ‼
内心汗だらだらの俺に後ろの暗黒物質の塊がずももも…と動いた。
俺の片腕を後ろに引き込んで、倒れかけたところを奴の身体で支えてくれる。俺の肩から下げられた相手の両腕は、俺の胸の辺りで組まれていた。
「…悪いんだけど、他探してもらえますか。」
ごくり、と俺は思わず生唾を飲み込んでいた。…あ、いや、食べちゃいたいほど格好いいとかそういう次元の話じゃなくて。単に男同士で付き合っているのがバレたんじゃないかってドキドキハラハラして…である。
「おまえ…。」
佐藤は片拳から人差し指を一本立たせ、その手をヒビキにどんどん近づけていく。
俺はもう動揺しまくりだ。えっ。えっ。何がわかったの、佐藤‼?たった今の会話で、まさか俺達がなし崩しに付き合っていて、同じ部屋に同棲しているまで見抜いたの‼?えっ。えっ。名探偵かよ、貴様‼ってか、何このスローな演出。テレビドラマ迫真のCM前のシーンかよ‼…なんてツッコミを羅列させていた、時だった。
「嫉妬だな‼」
犯人は…あなただ‼、みたいに佐藤はキリッと言い放つ。…俺は台詞の意味がわからず、ヒビキを見るが、幼馴染もよくわかっていないらしい。小首を傾げる。
「別にたっちゃんの恋人は…。」
「いい、いい、いい‼」
ヒビキの口から飛び出しかけたとんでも発言は、佐藤の大声によって打ち消された。…俺は、心底肝が冷えた。
「先に合コンに行った友達に、嫉妬しているんだろう‼」
何じゃそら。俺とヒビキは、顔を見合わせてしまった。佐藤の話は続く。
「ちっちっちっちっ‼…隠しても無駄だ‼ええっと、君…。」
佐藤がヒビキを指さしたままフリーズしだしたので、俺が助け舟を出す。
「ヒビキ、だよ。」
「そう、ヒビキ君‼」
…まるで、ド忘れしていたような口調だが、お前そもそもヒビキとは今日が初対面だろうが。補足説明しておくと、俺と佐藤が出会ったのは中学の部活動で、ヒビキとは同じクラスだったことがあるかどうかも怪しい。
「ヒビキ君、合コンに先に行ったからといって、彼を恨んではいけない‼」
彼、と言いつつ、佐藤は俺を示す。どうやら佐藤、一人で完全に勘違い極めている。
「さぁっ、君も行こうではないかまだ見ぬめくるめく自分の理想の女性が待ちかまえているだろう合・コ・ンにッ‼」
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