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雨はまだ降り続いている。カーテンと窓ガラスの向こう、果てしない闇の中。雨はまだ、微かな音を立てて降り頻っている。まだ、雨が上がる予兆はない。
薄っすらと聞こえる雨音をBGMに、俺達はカレーを食べ、時々会話し、終盤にはヒビキがリモコンを使ってテレビをつけ、バラエティ番組を一緒に視聴した。
風呂の順番は、いつも食後のじゃんけんで決めている。ぶっちゃけ順番自体にこだわりなんてないが、負け続けると地味に辛い。何か、幸運がヒビキに劣っているようで凄く嫌だ。
「いくよ~っ‼」
「おうっ‼」
結果、ヒビキがパーで俺がグー。…二連敗だ。
一方の勝ったヒビキはというと、ほくほくした顔で廊下の先へと消えていった。…く、くそう。
俺は歯噛みしつつ、キッチンに戻って大量の皿洗いにとりかかる。服の裾を捲り、息を吸い込んで長めに吐く。
「…よし。」
気合を入れなおし、蛇口を捻る。
微かな雨音は心地よいメロディーのように聴こえてくる。節をつけて歌ったら、一曲何か出来上がらないかな、なんて思いつつ、俺は無心で皿を洗い出す…。
夜。
寝る用意を整え、先に寝室に消えた同居人の後追って、室内に入る。ベッドに足を入れたら、当然みたいに身体を布団の中へと引っ張り込まれて、ヒビキに背後から抱きしめられてしまった。
「…やっぱこれ、動きにくいんだけど。」
物申してはみるものの、稀代の天然さんには勝てず。
「たっちゃん、石鹸の匂いする…。」
俺の項に鼻を押し当て、恍惚と囁く幼馴染はもうすでに残念の域に片足を突っ込んでいるのかもしれない。
「話聞けよ…。あと、人の匂いを嗅がない‼失礼‼」
「たっちゃんから良い匂いするのが悪い。」
さらっと被害者ぶられた。さては変態行為を認めない気だな、こいつ。…無性に腹が立ってくる。
「たっちゃん、もっと顔見せて…。」
「毎日見といて、飽きねぇのか。」
俺は舌をべっと出して、悪態をつく。
「…たっちゃんなら、飽きない。」
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