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2-2 教室にて
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妹の贔屓目が過ぎる戦略はどうせ成功しないだろうと思いつつ。
新ガチャを回したくて『ラーメン屋の息子』としてバイト開始。
これが面白いくらいバズった。
もちろん、父親のこだわり抜いたラーメンが美味いのが一番の要因だけど、オープン当初から写真撮影や取材も笑顔で受けた結果、「家族の愛が支えるラーメン屋」「ファンサも完璧なイケメンがいる」「将来も今も有望すぎる妹最強説」とかとか。
やたらメディアやSNSで持ち上げられ、GW明けには俺は『ラーメン王子』、妹は『ラーメン姫』とかそれってどーなん?な呼び名までついていた。
爆発的に来店者が増えた夏を経て、オープン半年後に収支分析を終えた母親から「ここからは本格的に味で勝負よ。二人のシフトを減らして希少価値をつけるわ」と宣言された。
結果、試験前以外ほぼ毎日働いていたシフトが急に軽くなった。
と言っても。
券売機での会計、セルフ式の返却、最新の食器洗い機などなど父親がラーメンに打ち込める環境を整えるべく先行投資していたからな。
俺も妹も、店では笑顔、笑顔、笑顔。
肉食おねぇ様方からの誘いをやんわり断りつつ、追加注文や掃除とか。
思ったより仕事内容はキツくなかったんだよな。
それに、「手伝いがある」という魔法の呪文のおかげでクラスメートからの誘いを断わっていたし。
せっかくジミメン属性を隠せていたのに・・・と正直途方にくれたくらいラーメン屋のバイトは生活の一部になっていた。
まぁ、シフトが減ったことがバレるまではこの呪文でなんとか乗り切ろう。
「なぁ、親父さんの新作ラーメンっていつからだっけ?」
「あー、来週土曜。
なんだよ、食べに来てくれんの?」
「行く、行く〜」
「いや、親父さんマジ神だよな」
「やっぱ真っ先にSNSに上げたいしさぁ。
オープン前に並んで・・・」
自席から身を乗り出すお調子者の加藤と自称グルメな吉岡、バズりたい村瀬を含め活気づいていた教室が本鈴の鳴り始めと同時に静まり返る。
俺も笑顔を引っ込めて座り直した。
このクラスに限って、本鈴と共にやってくるのは教師だけじゃない。
電車に乗れば、その車両から人が引き。
街を歩けば、財布を差し出され。
目が合えば、土下座で命乞い一択。
俺が転校してから真っ先に教わった、この街に住む悪魔。
血に飢えたギラつく目と、噛み付かれそうな尖った牙(まぁ、八重歯なんだけど)、顔面凶器の真野様が降臨するからだ。
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