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3 自宅にて
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無言で降臨した真野様に、教室から一切の音が消える。
殺人眼力に190cm超えと噂される長身が加わり圧倒的威圧感。
ジミメンがバレるとラーメンの売れ行きに影響が出るかもしれない。
学校での絡みを最低限に留めたい俺にとっては有り難い御札のような存在だ。
真野様は休み時間になる度フラリと姿を消すから、一番長くて危険な昼休みはあの男子トイレに逃げ込んでいる。
真野様の座った席は教室後方の扉から入ってすぐの角固定。
隣には机すら無く、前との距離を他より取ってある。
地方から来た俺からするとイジメじゃないかと心配になる扱いだが・・・どうやら、地元民にとってはそれが当たり前らしい。
真野様には、触れず関わらず荒立てない。
他校の生徒10人相手に病院送りにしたとか、喧嘩を実際見たとか言われると俺もそれに習いたかったけど、『高校のカズ』らしさを保つとなるとそうは行かない。
だけど、絞り出した渾身の一撃は朝イチ「おはよう」の挨拶止まりで返ってくることは一度も無いままだ。
それでも「あの真野様に挨拶をするなんて」と、爽やかで誰にも分け隔てがない『高校のカズ』設定は保たれている。
放課後、「今日も元気に働いてくるぜっ」と逃げるように帰宅。
部屋に入るなりベットにダイブ・・・す〜はぁ、息が出来るって素晴らしい〜
壁面に並んだゲームキャラのフィギュア、特典ポスターに限定グッズ。
好きなものに囲まれると生きてる実感が高まる。
外ではイケメン風味を矯正してくる妹も部屋にまで口出しして来ないからな。
明日は、いよいよマオちゃんとオフ会・・・初めて休日シフトから開放された日でもある。
今月から、俺と妹と新たに雇ったバイト二人で回していくから自由時間が増える・・・勿論、ゲームに使わない手は無いんだけど。
「うぇ〜ぃ」なクラスメートは、全員彼女持ちのリア充。
ノロケられ過ぎて、ジミメンな俺も彼女が欲しいと高望みが収まらなくなっていた。
擬態が上手く行ってるらしく、接客中にグイグイ来られたり、学校で告白されることはあるけど、本当の自分を出せない相手と付き合うなんて無理。
元々出会いが無かった中で、ゲームという趣味も合ってずっと話していたい、実際に会いたいと思えたマオちゃんは顔を見る前から特別で初恋で奇跡の存在。
二度と無いかもしれないこのチャンスを逃したくない。
だから、決めていた。
明日は『田中 和』として行こうと。
流行を取り入れたコーデも、時間が取られる髪のセットも無しっ
「今日シフトだよね?
ご飯はどうする?」
先に帰宅していた妹が扉の前まで聞きに来たらしい。
「店で賄い貰う」
「あ、そぅ」
不機嫌な足取りが遠のいて行った。
元々、家の台所は料理好きな父親担当。
問題外の母を除いても、猫の手も危うい俺と妹のレベルに大差は無い。
賄いにありつける面ではバイトが入ったほうが実は有り難いんだよな。
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