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7 ランチにて
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そ、そろそろランチタイム。
よし、エネルギーチャージして体制を整えよう。
デートとか、本気でマオちゃんの中では俺と付き合ってることになってるしっ
「飯でも食い行こっか?」
「あ、それは持ってきた」
ん、持ってきた?
アタッシュケースを開いたマオちゃんは、二人分のランチボックスを取り出しその一つを俺にくれた。
どういうこと?
首を傾げた俺に躊躇いがちに教えてくれた。
「俺が店に入ると迷惑になるから、出掛けるときはいつも弁当持参なんだ。
口に合わなければ、あそこのコンビニで」
「て、手作りなの?!」
あの真野様が台所に立つとか・・・興味が先立ち蓋を開ける。
卵やレタス、トマトにチーズ、それにカツにベーコン、ギッチリ具材が挟まれているサンドイッチが並んでいた。
え、普通に美味そう。
「昨日は、このパンを焼いたり具材を考えるからログインを断ったんだ」
「パンを、焼く??」
ウェイトティッシュまで出てきての至れり尽くせり。
早速齧り付くと、マジで美味い。
久々ラーメン以外のマトモな飯に有りついたっ
そこから最後の一切れまで無言。
「これも食べるか?」と差し出されたマオちゃんの残りも貰ってしまった。
いや、なんなの真野様。
実は料理人でも目指してんの?
コーヒーか紅茶か聞かれ、コーヒーが入ったマグボトルまで出てくる。
一息ついてからやっと言えた感想は。
「マジで美味いっっ」
「ハハッ、大袈裟だな」
語彙力皆無なのに、嬉しそうなイケメンスマイルが返ってきた。
ズッキュンズッキュンと胸に次々穴が開く。
今まで見てきた真野様に比べ、気を許してる笑顔が、そう、可愛い。
あれ、ヤバくない?
確かに真野様なのに、今は可愛さまで兼ね備えたイケメンに変わってて中身は優しいマオちゃんとか。
「いやいや、本気で嫁に来て欲しいレベルだし。
今、自宅飯が壊滅状態だからさ」
「KAZが良いならいつでも作りに行く」
キュンッ
はにかむ眼鏡付マオちゃん、一瞬にして俺の家でご飯作って一緒に食べてるとこまで妄想しちゃったよ。
話題、話題を変えようっ
「そ、そういやなんで女アバターにしてたの?
名前も女の子みたいだし」
「あぁ、それは兄からコミュ力をつけろと設定して渡されてて。
名前は、多分、真野 織我のマとオをつけたんじゃないか」
「そっか」
「やり方は自分で誰かに頼れと言われて。
KAZが色々教えてくれて本当に助かった。
それに、学校でも声を掛けてくれる。
挨拶、返したかったけど俺怖がられてるしな。
クラスの真ん中で輝いてるKAZは、格好良くて眩しくて・・・今の格好は逆に可愛い。
俺も、その、好きだったから付き合えるのが嬉しい」
照れてるマオちゃんの横顔を見てると、切なくて胸がズキッと痛む。
俺なんて、下の名前を今日初めて知ったレベルなのに。
不意に、学校では誰にも呼ばれないその名前を呼んでみたくなった。
「学校じゃマオちゃんって呼べないし、これからはオルガって呼ぼうかな」
「え?」
「オルガの分も食べちゃったし、なんかコンビニで買ってくるよ」
初めての名前呼び。
急に恥ずかしくなり、走ってその場から逃げてしまった。
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