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活動記録No.2広橋凪-5-
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──ドンドンドン!
「おい、凪!いるか?いるなら出てこい。」
部屋のドアが強く叩かれる。
初めて肇の怒鳴った声を聞いた。
僕は最初こそ驚いたけど、無視して布団にくるまる。
「凪!いるんだろ?」
少し弱々しくなったまま、だけど相変わらず部屋の前で叫ぶ肇。
「凪………、頼むから。」
「……………」
声が弱々しくなった肇は叫ぶことを止めて、ドアを叩くのもやめた。
…諦めたのだろうか?
僕は変わらず布に団くるまったまま、ドアの近くまで寄る。
「肇……」
「凪、頼むからさ。開けてよ。」
ドア越しに聞こえる肇の声はもう怒ってないらしい。
僕は、そのままドアを開けた。
その瞬間。
「うわっ!」
「急に走ってくから心配した。」
ドアが開いたと同時に思いきり抱きしめられた。
初めてのその温もりは、僕が思ってる以上に暖かくて、恐る恐る肇の背中に手を回して抱きしめ返した。
「だって、肇……怒ってたから……」
だから、怖くて。そしたら勝手に足が動いてた。
今まで、こんなことはなかった。
肇の言うことは聞いてたし、時々怒ってるときもあるけど、僕に八つ当たりなんてしない。僕に怒ってるときは滅多にないけど、そうゆうときは肇からは僕に話しかけない。
だから、今までの反応と違うことが怖くて、肇に嫌われることも嫌で、どうしようもなく不安になった。
「怒ってたわけじゃない。ただ…ちょっと居合わせて欲しくないところにお前が来たから……」
「僕がいけないの、分かってるから…。」
「いや、お前のせいじゃない。俺が悪かった。もう、お前を泣かせないから。」
いつもより優しく笑った肇は僕の頭をぽんぽんと撫でると、僕の腕を掴んで立ち上がった。
そのままの勢いで僕も立ち上がる。
「凪、今日は俺の部屋にくる?」
「え?」
「変なことはしない。……ただ、少しだけ一緒にいたい。」
「ぼ、僕も!肇と一緒にいたい!」
全く期待しなかったわけじゃないけど、それだけ僕のことを大切に思ってくれてるってことで。
僕たちにはそっちの方があってるのかもしれない。
「まっ、隣だけどな。行くか。」
頷くと、そのまま肇に腕をひかれてすぐ隣の肇の部屋にいった。
肇に抱きしめられながら寝たその日は、いつもの何倍もなん十倍も幸せだった。
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