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活動記録No.3三宮輝-9-
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「輝、大丈夫か?」
「……………」
やっぱり、上総くんの声がする……
近くにいるのかな?
腫れ上がってあまり開かない目を少しだけ開く。
薄暗かったそこに少しだけ光がさして、僕の目の前に上総くんのとよく似た金色じみた髪が見えた。
あるだけの力をふりしぼってそこに手を伸ばすと、何倍もの力で握り返された。
やっぱり、上総くんだ…………
来てくれたんだ…………
「大分意識飛んどるな…清香さんがOKだすの遅かったせいですよ?」
「ゆ、ゆうきっ!?」
「会長までっ!」
「なんで……?」
「仕方ないでしょう。直接的なのを確認してからじゃないと仕事ができないんですから。
それから、君たちなんで。じゃないですよ。君たちがしたことがあんなので許されると思ってたんですか?馬鹿ですね。」
「馬鹿だから学習能力がないんですよ。
じゃ、あとは任せますわ。会長様。」
「えぇ。早く保健室に連れていってあげてください。」
「輝?ひーかーるー?………意識飛んだか。本当に可哀想なやつやな。お前は。」
ほとんどない意識だったけど、最後にうっすらとそんな会話が聞こえた。
「これは酷い。よくここまで放っておいたね。」
「会長様のいじめやって。」
「海碼くんも相変わらずだね。」
「あれ、弐鷹。会長様のこといつから名前呼びなん?」
「えっ?あー…結構前からだよ。海碼くんは清香って気に入ってるみたいだけどね。」
「ふーん。で、輝は?大丈夫そう?」
「うん、凄いたくさん殴られてるから、しばらくは腫れが治まらないと思うけど、そのうち目を覚ますよ。」
「ならええんやけど。」
ふわふわとした曖昧な感覚。
僕は、どうなったんだろう……?
あの人たちに見つかって、殴られて……あぁそうだ。上総くんが助けてくれて。
それで?僕はどうなったんだっけ?
「んん……ん…?」
何故かそのあとが思い出せなくて。
だけど、何かに引き寄せられるように、僕は目を覚ました。
「輝、目ぇ覚ましたんか?良かった……」
「かずさ、くん…………」
何回か目をパチパチさせて、ここが現実であることを確かめる。
目の前には上総くんがいて。
「待っててな、今弐鷹呼んでくるから。」
「ま、待って!………いか、ないで…。」
先生を呼びにいこうとした上総くんの腕を、つい掴んでしまった。
でも、今になって体が震える。
ここに1人で残って、またあの人たちが来たらと思うと……
「せやな。怖い思いしたんやもんな。1人は怖いわ。」
だけど上総くんは、笑いながら頭を撫でてくれて。そして何故かそのままぎゅっと抱きしめられた。
「なぁ、輝。今こんなん言うんはズルい思うし、嫌なら断ってくれてもエエんやけど…
……オレと付き合ってくれへん?」
「え、え………あの……え?」
僕が?上総くんと付き合う?
そんなの無理だよ!だって、僕、いいところなんてないし……なにもできないし……
「ぼ、ぼく………そんな、上総くんと付き合えるような人間じゃない……」
「別にそんな大層な人間なんて求めとらんよ。輝がエエの。それでもダメ?」
「ぼく………僕、付きあい、たい………」
恥ずかしくて、上総くんの顔を見れなくて、つい俯いて言ってしまった…。
今さらながら、なんてことを言ったんだ……僕は。
「顔真っ赤やで?」
そう言わパッと顔をあげると、
「っっ!!」
「やっぱ可愛ええな。」
何故かキスされた。
そして、僕が上総の真の性格を知るのは、その半年後のはなし……
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