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活動記録No.8藤桐蒼真-2-
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「はぁ…………」
ぎゅっと左胸を押さえつける。
持病のようなものだ。ずっと一緒だった。
悪化することはあるかもしれない。けど死ぬほどじゃない。だから大丈夫。
だけど、高校を卒業したら、俺は療養のために田舎に戻って暮らすことになるから。
まゆとは必然的に離ればなれなになる。
いつまでそこにいるか分からない俺が、まゆの将来まで縛る、なんて絶対嫌だった。
……だから手放したのに。
「全然ダメじゃねーか。」
どうせ夕霧は俺に何も言ってこない。肇もそう。
………そもそもあいつらにはこのこと言ってねーし。
俺が1人で決めて1人でいなくなる。
誰にも言うつもりはない。
……そう、決めたんだ。
まゆ、お前を愛してるから
お前を手放す。
お前に幸せになってほしいから
お前を手放す。
……自分勝手。
最低で酷いやつだよな。自分でもそう思う。
自分勝手だって罵ってくれて構わない。
最低だって、非難して、大嫌いになってくれていい。
お前を泣かせるこんな男のことなんて忘れてくれていいんだ。
まゆ、お前は優しいからきっとそんなことはしないんだろうけど………
本当は俺の手で幸せにしてやりたかった。
何年も何十年もその先も。
ずっと一緒に居たかった。
本当は…………なんて言い訳にしか聞こえないような言葉を並べて、俺は悪くないと言い聞かせて。
…………悪いのは全部俺。
俺がいなければ、今ごろまゆはもっと笑えてたのかも……、しれないのに。
結局そんな勇気もない俺を、まゆはきっと許してくれるんだろう。
だけど、今はその優しさだけが辛いんだ………
ーーお前の笑顔を見るたびに、心が疼く
大好きなんだ。お前が。お前だけが。
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