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あまりにも雰囲気が落ち着いているので、最初は年上かと思った。むこうも俺を年下だと感じていたようで、同い年だと知ったときは、お互いにびっくりしたっけ。そこから同年代ならではの話で盛り上がって、仲良くなった。
「明日何すんの」
「えー、特に予定ないっす」
「あれ、この前の合コンは?」
「駄目っした、あ! そう! 駄目だったんすよー、聞いてくださいよー!」
「うん。聞き流すね」
「流すんかーい」
先日行った合コンが、いかに惨敗だったかを俺は語る。ナースって、人の死に触れてるから性欲強いなんてデマを流したのは、どこのどいつだ。しかも来たのはババアばっかりだし。そりゃ、若くて可愛い子は医者に走るか。あーあ。
「どっかにいないっすかねえ。俺の運命の人」
「男がシンデレラに憧れちゃ、おしまいでしょ」
さらりと酷いことを言って、權さんはまた酒を口に含む。いいよなあ、この人は。俺みたいに絶倫で悩まなくてすむんだから。
まあ、違う悩みを抱えているのは、もう知ってるけど。
「…………權さんはどうなんすかぁ」
「えー。相変わらずだよ」
わりといいとこ育ちの權さんは、親から結婚しろとプレッシャーをかけられ続けているらしい。勝手にお見合いを仕組まれたり、結婚相談所に強制連行されたりだのと、大変みたいだ。本人に、まったくその気がないわけではない。ただ、行動力が皆無。
無趣味で無気力。何事にも反応は薄いし、のらくら生きているような人。さすがは、空気。これでよく出世できたなとは思うけど、バリバリピリピリしてる男社会で、案外こういう人は貴重なのかもしれない。窒息しそうな日常に、新鮮な酸素を送り込まれたみたいに。
「……………子供欲しいならそろそろでしょ」
「そうだねー」
他人事みたいに、權さんは応える。もうお互い35で、なんなら同世代は結婚して既に子供をとうに授かってる。結婚したいとか、カノジョ欲しいとか言ってる場合じゃない。
「でもさあ、もう一人にも慣れちゃったよね」
「ああ……………まあ」
そこは俺も同意する。恋人は欲しい。……正確に言うなら、緊急の課題として、性欲を解消したい。そりゃ、可愛いスタイルのいいカノジョが出来たとして、デートとか、将来とか、そういうのもいいだろうけど、俺の欲求についてこれる人がそもそもいない。モテないわけじゃないが、だいたい寝てしまうと、皆似たような理由でむこうから去っていく。曰く、しつこい。無理。疲れる。死ぬ。怖い。
そんなにか。俺ってそんなに、そんなにか。
だってセックスって毎日したくない? 三回戦ぐらいは普通じゃない? 大人なんだから玩具使いたいしアブノーマルなことだって試したいし……………ううう。
ぶっちゃけ、精神的に傷ついて疲れるぐらいなら、もう一人で済ますか風俗に行ったほうが、早いし手軽だ。そんな生活を繰り返して、もう何年。一人に慣れてしまったところはある。
「……やー。でも、やっぱさみしいっすよお。このまま独りってぇ」
「僕が相手してやるよ。お一人様同士、暇同士。そしてさみしく孤独死しよう?」
「やだー! 權さんも結婚頑張ってくださいよー」
「あー。頑張る頑張るー」
「適当だなー、もー」
「あははー」
ゆっるいなあ、もう。
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